【0066】フレームワークとしての法的三段論法(前) 6 of 7

14-連載-法務三大フレームワーク11環境整備, 12経営法務/戦略法務, 13予防法務, 14臨床法務, 16内部関係, 17継続関係, 18突発関係, 21基本六法, 22民商法, 23労働法, 24消費者法, 25経済法, 26知的財産法, 61契約手続き, 62リスク管理, 63意思決定, 76資格・試験, 99引用

–前回までのあらすじ–
「法務担当者の業務に役立つフレームワークをまとめよう」をテーマとして、その第1号として紹介する「法的三段論法」の具体例は



(抽象的法規範:規範定立)人を殺した者は、死刑……に処す。
(具体的事実の認定:あてはめ)ブルータスはシーザーを殺した者である。
(法的結論:結論)ブルータスは死刑に処せられる。

<髙橋明弘 『法学への招待』>を基に(日野)が作成
で、規範定立:規範(要件と効果)を提示し、あてはめ:事実を要件にあてはめ、法的結論:事実から導かれる効果を宣言する、という三段階。「規範定立→あてはめ→結論」を論理の順序としてこの順序でいくと、都合が悪いことが現実にはあり、論理の順序とは別に、現実の思考の順序は「結論→規範定立→あてはめ」
(問題発生:事実)→(結論)→(規範定立)→(あてはめ)→(結論)
となるというのは暴論ではない(日野)ひとりの思い込みでないことを、引用に依りながら、確認していきたいと思います。

続:論理順と思考順、その違いと違うことの正しさと

事実を受けてまずは結論を導くこと、それを価値判断と呼び、この価値判断ができることが最も重要だと、(日野)は考えています。


法を学んだ人ならば、何か法的な争いに直面したときに、その争いが法によって解決できる問題なのか、もしそうだとして、法を適用すればどういう結論になりそうか、ということがおおよそわかるようにならなければなりません。

伊藤真 『伊藤真の法学入門』

事実を聞いてまず、法的問題(=法により解決できる問題)であるかどうかを判断できるか否か。法的問題であったとして、直感的にどういう結論を導き出すか。

そのうえで、直感的に導き出された結論の妥当性を検証する。


条文や判例を操作することによって得られたいったんの結論が、法を背後から支える価値観や理念に照らして妥当かどうか判断する力こそ、リーガルマインドのもっとも重要なものです。(…)そのように「こう判断すべきだ」というのは、さまざまな個別の事例を通じて養われた、法感覚、実務家的直観から身に付いてくるものです。

伊藤真 『伊藤真の法学入門』

このように、まず直感的に結論が導き出されます。これを価値判断と呼びます。

価値判断は直感的に行われるため、その直感を補強し、他人が納得できる論理的な形で提供する必要があります。この直感の補強と論理性の付与が、法的三段論法に期待される第一の役割ではないかと考えます。


「法の支配」は、何が法規範であり裁判規範であるかについての決定権を司法裁判所に専属させ、裁判官の判断を法的三段論法に拘束せしめることによって、実現される。つまり、前者は、法の支配の外部に向かったコントロールによって実現される司法権の政治的権力からの独立の確保維持――三権分立――を意味し、後者は、それの内部に向かったコントロール――法のDogma――によって実現される公正な裁判の確保維持を意味する。このように、推論的三段論法の過程は、近代法の「法の支配」の思想と結びついて、司法の独立と司法の公正を司法の内部から保障する機能をゆすると考えられる点に意義がある。

髙橋明弘 『法学への招待』

(日野)の論(法的三段論法の第一の役割は、価値判断を補強し、他人が納得しやすくなる論理性を付与すること)に援護射撃してくれていると思いますが、どうでしょう、伝わるでしょうか。

–次回につづく–

(追記)投稿当時は現在とちがい、管理人の名称は(準備中)でした。修正して現在の一人称である(日野)等に置換えをしています。


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