【0149】なぜ読解する技法か  オマケ

21-読解する技法77一般スキル

【オマケ】法令解釈の出発点=“文理”解釈

【0139】で新たなカテゴリー「読解する技法」を追加すると宣言して、その次【0140】から前回【0147】まで「なぜ”読解する技法”か」ということを、 “なぜ読解か” “なぜカテゴリー追加となる(くらい重要な)のか” ということを伝えたく書いてきました。

その概要は前回【0147】の後半にまとめたつもりです。

 

ここまで【0140】から【0147】までの話の流れが正の流れとして、それとは別の視点を今回書きます。

 

ここまでの正の流れ(=積上げの視点)も重要ですが、

その積上げの終点で何らかに気づいてから土台を振返って(=逆の流れで)見てみると、 読解がいかに重要かということが、正の流れより、より明確に見えてきました。

 

この“逆の流れ”から見たときには、“読解は重要”というだけでは認識が甘く、正しく言うならば、“われわれ法務担当者にとっては読解力が生命線である”とさえ言うことができるように感じました。

 

なぜ、法務担当者にとって読解力が生命線なのでしょうか。

それは、ふだん行っている法令等の解釈で基本となるのは文理解釈であって、文理解釈においては文脈を捉えるということが重要であるからです。

文理解釈とは、「法文の文字、文章を重視する法令解釈の方法」です。「文字解釈」ともいいます。「文理」の通り、つまり「書いてある通りにそのまま解釈するということです。「文理解釈」の反対概念として、後に述べる拡張解釈、縮小解釈、類推解釈、反対解釈といった「論理解釈」があります。(…)実務法曹として一番重視しなければならないのは文理解釈です。つまり、文字で書いてあり、それ以外に解釈できないのならば、それが一番強いのです。文理解釈は、すべての解釈の出発点です。

愛知県弁護士会法科大学院委員会編 『入門 法科大学院–実務法曹・学修ガイド』p82 下線は(日野)による>

この引用に“「文理」の通り、”とありますが、「文理」とは“②文章の筋。文脈。<松村明他『旺文社国語辞典』>”であり、先に挙げた引用のとおり、まさに文脈が重要となります。

 

また、文理解釈を超えて論理解釈が必要となることがあります。

実務法曹はまず、条文をそのまま事実に適用したらどういう答えになるかを考えます。(…)ただし、法理学や法哲学を勉強していくと、「文理解釈をあまりに強調するのはおかしい」という意見や「そのような規定が制定された歴史を考えるべきだ」という意見のあることがわかります。また、法律の抜けている点(条文の脱落)を補ったり、現実の事件に対応するために解釈を広げたりしなければならないときにはじめて類推解釈や反対解釈といった論理解釈を援用するのです。

愛知県弁護士会法科大学院委員会編 『入門 法科大学院–実務法曹・学修ガイド』p82 下線は(日野)による>

まずは論理解釈、それでは具合が悪いときに論理解釈を用いることになります。

そのような論理解釈が必要な場面であっても自分勝手な解釈は許されません。判例にあたることになります。

判例がなければ下級審の裁判例や信頼度の高いコンメンタールを頼ることになります。

それらのなかから重要度の高い物を選び出した上で読み込み読み解きながら向き合う事例にあてはめるという行為が必要となります。

なんしか、条文なり判例なりコンメンタールなり、そこに書かれている文章を読み解く=書かれているままに理解するということが必要になります。

 

こうして改めて見つめ直してみると、法務担当者にとって文章読解は日常であり、法務担当者に求められる業務スキルのなかでも読解力というのは最重要スキルのひとつに挙げられるものであるといえます。

 

 

業務スキル上も、ヒューマンスキルの上でも、ここ(「読む」ということ)が鬼門ではないかという認識を強く持った次第であります。

–次回につづく–


このページの先頭へ