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21-読解する技法

【承2】「読解力の向上に資すること、その手がかり」におけるひとつめの風呂敷「「読む」の位置づけ」を思い出す

次に【0152】から【0159】まで、「読解力の向上に資すること、その手がかり」について考えてみました。

「読解する技法」に取り組むとして、読解であれば小中高で習ってきた国語・現代文に進めばよいように感じますが、すぐに飛びつくのではなく一旦立ち止まって確認してみましょう、という部分です。

 

ここでは2つの風呂敷を広げてみました。

ここでいう「風呂敷を広げる」は【0154】で挙げた「何事によらず、内部論理の緻密さや形式的な整合性を論ずる前に、全体としての大きさの程度を大まかに把握する。全体を把握した上で優先順位をつける、という考え方」のことです

ひとつめの風呂敷は、「「読む」の位置づけ」、
ふたつめの風呂敷は、「読解を考える手がかり」です。

 

まずは風呂敷のひとつめ、「「読む」の位置づけ」

【0147】なぜ読解する技法か 7 of 8のなかで、言語の四技能を挙げました。「読む」「聞く」「書く」「話す」の四つです。

「「読む」の位置づけ」というと、まず「読む」はこの四技能のひとつに位置づけることができます。

このほかにどういうグループがあって、そのとあるグループのなかで「読む」はどのように存在するのかを考えることで「読む」の本質に迫ろう、という営みです。

 

ここは非常に難解な進行になってしまったのですが、結論は次の部分です。

 

この仮定から、読み書きそろばんというのは、

「理解し、(理解した上で)考えて、(考えた自分の主張を)伝える」という“社会生活をする上で最低限必要な、コミュニケーションの技能”を現しているではないか

というところに辿り着きました。

 

この新しい「読み書きそろばん」=「理解し、考えて、伝える」ということを、イメージ図で表すとこうなります。

読むというのは理解するための手段のひとつであって、さらに理解するというのはそれを受けて考えた上で相手に自分の主張/考えを伝えるための前段/前工程であるということです。

 

さて、ここに至ってようやくメインの主張に辿り着きました。

ひとつめの風呂敷「「読む」の位置づけ」でいいたかったのはここ=前回(0156)のことで、(日野)が考える「読み書きそろばん」の新しい意味=「理解し、考えて、伝える」ということです。

日野吉富 『ホウタンノソ:法務担当者の基礎となる知識および技法、其の実践ならびに問題解決の素』【0157】読解力の向上に資すること、その手がかり 6 of 8

 

「「読む」の位置づけ」として、「読む」とは「読み書きそろばん」のひとつだということ、

さらに、「読み書きそろばん」を「理解し、(理解した上で)考えて、(考えた自分の主張を)伝える」という“社会生活をする上で最低限必要な、コミュニケーションの技能”を現しているのではないか、としています。

 

この「読み書きそろばん」=「理解し、考えて、伝える」には次のような想いが込められました。

 

(日野)がいま追っているのは、読解のための読解ではなく、相手の主張を理解するための読解です。
「理解し、考えて、伝える」という一連の流れのなかの理解する手段のひとつとしての読解する技法です。
そうすると、読解というのは理解をするための手段であり、
理解するための一手段である読解というのは(主張する相手への返答である(日野)自身の主張を)考える前提となる行為であるといえます。

相手への返答を「伝える」前段として自身の主張を「考える」、その「考える」という目的のために相手の主張を「理解する」、このとき「理解する」ための手段が2つあって一方は「聞く」でもう一方が「読む」です。

「読解する技法」といって、読解を掘り下げていくわけですが、それ自体が目的ではなくあくまで手段のひとつなのです。

 

新しい「読み書きそろばん」=「理解し、考えて、伝える」のなかの「理解」のための手段としての「読解」について考えていくわけです。そのときに「伝える」の前段に「考えて」いなければならず、「考える」前段に「理解」していなければなりません。

だからこそ「理解」のための手段である「読解」は重要だということです。

「読解」が「理解し、考えて、伝える」というコミュニケーションの技能の中で最重要であるということを理解してもらいたかったということです。

<いずれも 日野吉富 『ホウタンノソ:法務担当者の基礎となる知識および技法、其の実践ならびに問題解決の素』【0157】読解力の向上に資すること、その手がかり 6 of 8

 

【承3】「読解力の向上に資すること、その手がかり」におけるふたつめの風呂敷「読解を考える手がかり」を思い出す

この読解の手がかりにおいて広げた風呂敷2つの内、ひとつめの風呂敷「「読む」の位置づけ」の補足として【0160】読解力の向上に資すること、その手がかり  オマケがありました。この【0160】オマケでは本編よりストレートに「読む」の重要性を書いています。

 

では、読解の手がかりにおいて広げた風呂敷2つの内、もうひとつの風呂敷「読解を考える手がかり」はどうか。

このふたつめの風呂敷「読解を考える手がかり」の振返りをした上で、新たに補強をするところから、この「読解する技法」に本格的に戻っていきたいと思います。

 

–次回につづく–

21-読解する技法


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