【0213】優先順位を見極める 2 of 3
仕事でもプライベートでも、やるべきこと・やりたいことがたくさんあり、いそがしい、
しかし時間は有限、実行できることの総量は限られている、
だから優先順位をつけて、優先順位の高いものからやっていく、低いものはやらずにすませましょう、
という流れで前回、重要度・緊急度マトリクスを取り上げました。
図の丸数字が若い方が優先度が高く、
①②③の実施し、④はやらずにすませてしまおう、
というものです。
ただこの四象限、いざプロットしようとすると重要度の判断が難しいことに気づきます。
上司と争いになるのも重要度の判断です。いわく、「なぜ業務Aが重要度低いのか!」と。
せっかく優先順位をつけても、上司と重要度の判断があわずに結局怒られたというのでは残念です。
重要度をどう判断するか、
そこを掘り下げていきます。
まず、いまやるべきことを列挙します。
ここは何も考えず、とにかく思いつくものをひたすら書いていきます。
ざっとテキトーに挙げてみます。
(ア)監査役監査での指摘事項の部内共有と対策立案
(イ)部内懇親会への出欠報告
(ウ)標準契約書の民法改正対応
(エ)担当取締役への説明の資料に使うバックデータの収集
(オ)契約書先方ドラフトのチェック
(カ)契約審査制度の見直し
(キ)取締役会の資料に使うバックデータの収集
(ク)内部監査での指摘事項の部内共有と対策立案
(ケ)経営会議の資料に使うバックデータの収集
(コ)部内の定例の進捗確認うちあわせの資料準備
(ア)~(コ)まで10項目を挙げてみました。
次に、グループわけします。そして特徴を抽出します。
ここが肝です。
グループわけです。
(エ)(キ)(ケ)は会議などに使うバックデータの収集という点で共通しています。
会議等の資料作成・データ収集としてまとめます。
そのような手順で、10項目をA・B・Cの3グループにわけました。
A.社内の制度・ルールの見直し |
B.会議等の資料作成・データ収集 |
C.その他 |
(ア)監査役監査での指摘事項の部内共有と対策立案 (ウ)標準契約書の民法改正対応 (カ)契約審査制度の見直し (ク)内部監査での指摘事項の部内共有と対策立案 |
(エ)担当取締役への説明の資料に使うバックデータの収集 (キ)取締役会の資料に使うバックデータの収集 (ケ)経営会議の資料に使うバックデータの収集 (コ)部内の定例の進捗確認うちあわせの資料準備 |
(イ)部内懇親会への出欠報告 (オ)契約書先方ドラフトのチェック |
ここから特徴を抽出します。
資料作成のグループBには、(エ)(キ)(ケ)(コ)の4項目ありますが、
それぞれ提出される先が、担当取締役、取締役会、経営会議、部内うちあわせ、
となっています。
資料作成という共通点はありますが、提出先が異なるという相違点があります。
そして、提出先が異なることで、その仕事の影響の大きさと、影響の範囲も変わってきます。
例えば(コ)うちあわせ資料ができなくても部員が迷惑するだけですが、(キ)取締役会の資料ができなければ担当取締役だけでなく会社全体や社外役員にも影響が及びます。
影響の大きさや影響範囲の広さから、(コ)より(キ)のほうが重要度は高いといえます。
別の視点から、もう一度(キ)と(コ)を見てみます。
(キ)取締役会の資料に使うバックデータの収集
(コ)部内の定例の進捗確認うちあわせの資料準備
(キ)のほうはバックデータの収集なので、別の人でもできるかもしれません。
一方で、(コ)のほうは進捗確認のうちあわせなので、自分の業務の進捗状況がわかるのは自分だけです。
つまり、他の人でもできるか・自分にしかできないか という違いがあります。
影響の大きさや影響範囲の広さからいうと(キ)のほうが重要度が高いですが、
自分にしかできないという観点からは(コ)のほうが重要度が高いといえます。
同じように(ア)と(ク)を見てみると、
(ア)監査役監査での指摘事項の部内共有と対策立案
(ク)内部監査での指摘事項の部内共有と対策立案
(ア)監査役監査は会社法に定められた監査ですが、(ク)内部監査は法ではなく社内規程の定めによる監査です。法定である(ア)のほうが影響の大きさや影響範囲は大きいです。
ただ、法務担当という立場からすると、(ア)監査役監査での指摘事項であっても会計監査の範囲における指摘であれば、それは自分がするべきことではなくなります。
もうひとつ(イ)部内懇親会への出欠報告 となると、
影響範囲は部内ですし、欠席したとして影響も小さいわけですが、その判断は自分にしかできないという観点からは重要です。
自分がその判断をしてあげないと、幹事が大変迷惑します。
こうして見ていくと、重要度を判断するためには、おおむね3つの観点を押さえればよいようです。
- それをやることでどのような効果があるか、どのような影響があるか⇒影響の大きさはどうか?
- そのやるべきことの成果は「何に使われるか」、そのやるべきことをやらなかったとき「誰に影響を与えるか」⇒影響範囲はどうか?
- そのやるべきことは「自分にしかできないか」「別の人に頼むことはできないか」⇒自分にしかできないか?
–次回につづく–