法律学の古典と基本書のブックガイド
2020年12月5日に投稿の【0233】法律学の基本書を読む 1 of 10から、
途中で別テーマをはさみつつ、
2021年8月28日に投稿の【0250】法律の基本書を読む 10 of 10まで列挙した
基本六法+αの古典と基本書です。
愛知県弁護士会法科大学院委員会編『入門 法科大学院』を拠りどころとして、
具体的な基本書を列挙しながら、列挙された具体例から特徴を抽出することで帰納的に
基本書を定義するということをしていきました。
そうして出来上がった基本書の特徴は次の4点です。
1.全体を網羅して筋が通っている(体系立っている)
2.論点、争いのある個所が網羅されている(判例・通説が明記されている)
3.何度も読み返すことができる(コンパクトである)
4.現行法対応・重要判例がフォローされている(改訂が続いている)
そして、
基本書とは、“よりどころとする大もと”であり、
イメージで言うと”わからない部分は他の本に飛んでいって、理解したらまた「基本書」に戻ってくる、基地のようなもの”だと整理できました。
これを、このブログにおける「法律学の基本書」の定義しました。
憲法、行政法、商法は迷いありませんでしたが、
民法で迷いが生まれたところから、ここで立ち止まり、仮説・検証の結果、
(日野)なりの基本書の定義ができたので、その定義に沿って、
民法、刑法、刑事訴訟法、民事訴訟法に対しては、それまで(日野)が考えていた「法律学の基本書」を見直ししてきました。
上記の流れで進めてきた結果、できあがった法律学の古典と基本書のリストが以下の表です。
基本書 |
筆頭参考書 |
古典 |
芦部信喜『憲法』 |
野中俊彦 他『憲法Ⅰ・Ⅱ』 |
芦部信喜『憲法学』有斐閣、『憲法判例を読む』岩波書店 |
櫻井敬子 他『行政法』 |
塩野宏『行政法Ⅰ・Ⅱ・Ⅲ』 |
田中二郎『行政法』法律学講座双書 |
神田秀樹『会社法』 |
江頭憲治郎『株式会社法』 |
鈴木竹雄『会社法』法律学講座双書 |
近藤光男『商法総則・商行為法』 |
江頭憲治郎『商取引法』 |
鈴木竹雄『商行為法・保険法・海商法』法律学講座双書 |
我妻榮 他『民法1 総則・物権法』 |
近江幸治 民法講義『1民法総則』『2物権法』『3担保物権』 |
我妻榮 民法講義『1民法総則』『2物権法』『3担保物権法』 |
我妻榮 他『民法2 債権法』 |
近江幸治 民法講義『4債権総論』『5契約法』『6事務管理・不当利得・不法行為』 |
我妻榮 民法講義『4債権総論 』『5-1債権各論 上巻』『5-2債権各論 中巻一』『5-3債権各論 中巻二』、我妻榮 『事務管理・不当利得・不法行為』 |
我妻榮 他『民法3 親族法・相続法』 |
近江幸治『民法講義7 親族法・相続法』 |
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前田雅英『刑事法入門』 |
前田雅英『刑法総論講義』 |
団藤重光『刑法綱要総論』 |
|
前田雅英『刑法各論講義』 |
団藤重光『刑法綱要各論』 |
|
前田他『刑事訴訟法講義』 |
平野龍一『刑事訴訟法概説』 |
佐藤鉄男 他『民事手続法入門』 |
藤田広美『講義 民事訴訟』 |
兼子一『民事訴訟法』 |
|
藤田広美『民事執行・保全』 |
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|
藤田広美『破産・再生』 |
|
前半(憲法、行政法、商法)は穏当、
民法を契機として、
後半(民法、刑法、刑事訴訟法、民事訴訟法)は大暴れという感じでしょうか。
こんな基本書リスト、他に見たことがないです。
加えて、基本六法だけでないところも(日野)らしさかと思います。
行政法は、司法試験の必須科目で、『入門 法科大学院』でも挙げられていますが、
商法に商法総則・商行為法が入っていること、
民事訴訟法だけでなく保全・執行・倒産法も挙げている
というところは(日野)らしさ、ホウタンならではと自負しています。