【0282】徹底した機能志向への転換 4 of 4
前回に、1000円カットとの出会いを書きました。
初めて行ったその日から、散髪はずっと1000円カットです。
注意しないといけないのは、同じQBハウスでも立地によって仕上がりが違います。
大阪駅構内のQBハウス、と
ベッドタウン周辺イオン内のQBハウス、とでは、
同じオーダーをしても切り具合が違います。
どちらもダメなわけではなく、好みだと思います。
1000円カットのスタイリスト氏は、そのお店に来るお客様との一発勝負の日々だから、
そのお店に来られるお客様の嗜好にあった方向に技術が伸びていく
ということだと理解しています。
さて、そんな1000円カット、接客はファミレス級です。
今日いったら、先に到着されて券売機の前でワチャワチャとしているおじいちゃんおばあちゃん(たぶん夫婦)がいました。
どうワチャワチャかというと、
- おばあちゃん券売機に1000円札を入れることができません。
- 後ろに並んでいる(日野)を見ます。
- 何か話しかけられましたが、先に順番待ちに座っていたおじいちゃん「そのひと(店員さんと)ちがう!」と言いながら券売機に寄ってきます。
- 1000円札をおばあさんからとりあげて「こっちや!」と言いながらお札の挿入口のちょっと下にお札をグリグリし始めます。
- おばあちゃん何も言わずに(日野)を見ます。
- (日野)言います「ちゃうちゃうそこちゃう、こっちや」と。きつめなことに反省。
- お金が券売機に入っていきます。
- お金が入ったらボタン押さなあかんのに、おばあちゃん、ぼーっとしてます。
- 券売機が反応ないから後ろにいる(日野)を見るんです。
さっききつう言うた人間にその目・・迷いなく「たすけて」と言ってます。 - そうなるともう「このボタンやで」って、発券するボタンの場所を教えます。
腹立つんですよ、それは店員さんの仕事でしょ、とも思うんですよ。
でも、仕方ないんです。
カットしてもらいたくて、接客は求めていないんです。
カットができればOKで、接客はファミレス級どころか牛丼級でいいんです。
老夫婦のワチャワチャに巻き込まれて腹は立つものの、
(日野)の親もそうならないとは限らないわけです。
券売機の前で自分の親が右往左往していたら、近くに居る人が助けてくれると嬉しい、なあと。
そやなあ、近くにいる人に助けてもらうしかないもんなあ、と。
そう思うとそう、まわりがお店を助けてあげたらいいんだと思いました。
まとめ
1000円カットが成し遂げたのは、徹底した機能志向への転換でした。
(日野)がそのお店に求めているのは接客ではなく、カットの技術です。
たったの1000円で、求めている効果が得られるのです。
その状況から欲を出して、カット以外のものを求めたときに、提供されるものと対価のバランスは成り立たなくなります。
対価はお金だけではありません。待つ時間、必要以上の会話、そのような見えないコストも増えていきます。
そうして、いろいろの意見を反映して出来上がるのが、「業界平均の理美容店」ではないでしょうか。
特徴あるサービスを「業界平均」にしてしまうくらいなら、
「お店が提供しようとしているより多くの価値を求めない」というのも
消費者としての選択肢だと思います。
足らないものは、ユーザ同士が埋め合わせたらいいのではないでしょうか。
–完–