【0041】指令、役員全員の住民票を集めよ 1 of 8

10-ビジネス法務16内部関係, 18突発関係, 22民商法, 42委託契約, 76資格・試験, 96第一話, 99引用

法人で、法務をしていると、役員の住民票の写しが必要になることがあります。 たとえば、就任のときその登記手続きのためであるとか、建設業や風俗営業など始めるときの許認可申請手続きのためであるとか。納税のための電子証明のためとかもありますね。意外といろんなときに要求されます。 電子証明などは代表だけでよいのですが、許認可のときは監査役も含めて役員全員の住民票が(そしてそれ以外の複数の証明書が)必要になります。

役員の住民票が必要だが、なぜ正しくとってきてくれないのか。

そんなときは、本人に対して準備するようにおねがいするのが普通の思考回路だと思います。 「市役所に行って住民票の写しをもらってきてください」 そうお願いするわけですが、そうお願いしたところでだいたいの人はもらってこない。

  • 「いま市役所にいるんだけど、なにがいるんだっけ?」と電話が入る(しかもなぜかこちらがお休みをいただいている時に限って行ってくれるから不思議だ)。
  • 役員「もってきたよ」→日野「ありがとうございます」→確認するとまちがってる。(あれほど本籍地の記載があるものってお願いしたのに。。
  • そもそも行ってくれない。(「ああ、忘れてた」とか言って。

住民票の写しひとつもまともに持ってこれないのかーー! とも思いますが、会社役員ともなると、(日野)ごときには解らないなにかがあるのでしょう。 実際(日野)ごときは、業務で部下に「住民票の写し持ってこい」と言われたことないです。経験のないことに文句いっても仕方ない。 とはいえ、役員に何度も同じことお願いするのは気を遣ってしんどいんだ。できれば一度で終わらせたい。   簡単なことなのです。おねがいするのではなく、自分でとりにいきましょう。 本人でなくても、住民票の写しはもらえます。特別な資格はいりません。必要なのは知識だけです。

代理申請をするために、なんとしても委任状が必要だ。

住民票の写しは、通常本人が交付申請をするものです。ただし、他人が本人に代わって申請することもできます。 (なお、俗に「ジュウミンヒョウヲトリニイク」などと言いますが、正確には「住民票の写しの交付申請をするために市区町村の役所に行く」となります。この投稿では表現が統一しきれていませんが、柔軟に読み換え願います。) 本人に代わって他人がおこなう、どこかで聞いたことがありますね。 いわゆる代理、民法でいう「委任」です。


委任[いにん] 弁護士に訴訟を依頼する場合のように、当事者の一方(委任者)が他方(受任者)に対して法律行為を行うことを委託し、受任者がこれを承諾すると成立する諾成契約(民643以下)。民法は無償委任を原則とするが、実際には有償で行われるのが一般である。受任者は委任の本旨に従い善管注意義務をもって委任事務を処理しなければならず、事務処理状況などの報告義務、受取物の引渡し等の義務を負い、報酬支払い、費用前払い、費用償還の請求権などを有する。当事者はいつでも委任を解除できるが、その効果は将来に向かってのみ生じる(652)。そのほか、委任は、委任者または受任者の死亡または破産、受任者の後見開始の審判により終了する(653)

<有斐閣 『ベイシック法学用語辞典』>

次回へつづく

(追記)投稿当時は現在とちがい、管理人の名称は(準備中)でした。修正して現在の一人称である(日野)等に置換えをしています。


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