【0086】一才桜とともに考える法務担当者の心構え 1 of 6

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春分次候の頃、会社近所の花屋にて

それはある年の春分次候。

それはついこのあいだ生を受けた娘が、誕生から一月を過ぎようとする頃でした。

 

娘が誕生して一月となると、ふだん縦の物を横にもしない愚鈍の父である(日野)でも「記念に何か残したいなあ」と考えるようになりました。

そのように考えていたとき、いつもの道中にある花屋さんの前で、

「一才桜」の文字と、その近くの台の上にかわいらしい小盆栽がいくつか並んで置かれている姿が目に入りました。

 

某大手ECサイトで「一才桜」を検索してみると、こんな感じです。

 

こうして商品画像や商品説明を眺めていると、一才桜というのはどうやら「4月上旬に花を咲かせる。その前の時なら蕾の状態やけど、それ以外の時季は枝だけやけど発送はできます」という商品の様です。

 

「(この時季に記念日の娘に贈るには一才桜は)よさそうだな」と思ったものの、贈るからには現物を見て決めたいものです。

そして植物なので、できれば育て方などについてプロフェッショナルの話も伺いたいものです。

 

そう思い始めるとすぐにでも花屋さんに行きたいのですが、(日野)は(勤め先の決算日が3月末、管理部門に所属していると決算前後の対応で)信じられないくらいに忙しい時季です。

この時季は普段より帰りも遅くなり、家の近所の花屋さんは早めに閉まるから仕事終わりには行けません。

そうはいっても、記念日は待ってくれません。

仕方なく事務所近くの花屋さんへ。「誕生から一月の記念に残す何か」として一才桜がふさわしいものかどうか、「現物を見に」出かけました。

 

事務所近くの花屋さんは、狭い敷地に細長く建つ“ある意味”都会的なビルの1階にある小さなお店です。

 

(日野)が最初に一才桜を見かけたのは事務所近くにあるその花屋さんだったように思います。近所のコンビニに軽食を買いに行く途中に、そのお店の外で並べられている一才桜だったように思います。

ただそのお店であるというはっきりとした記憶はありません。

たまたま見かけたそのときは単語として目に入っただけで、そのあと自宅近くの花屋さんでもう一度見かけてようやく「“一才桜”いうのはええなあ、娘の何かの記念に贈るのにいいかもなあ」と思ったような気がします。

そのくらいの曖昧な記憶を持ちながら、事務所近くの花屋さんに向かいました。

 

狭い敷地に細長く建つある意味都会的なビルの1階にある小さな花屋さんにて

さて、その事務所近くの花屋さんに到着してみると、店先に並んでいたように記憶していた「一才桜」はその時は店先にありませんでした。

以前たまたま見かけたときは昼頃だったように思われ、いま見に出かけて来たのはやがて夕方に近いころです。

「時間が違うし、遅いからもう片付けたのかなあ」「もしかして店中にあるのかな」と考え店内に入りました。

 

店内は狭く、8帖くらいでしょうか。たくさんの花とその花たちを世話するための道具が置かれているその狭い空間をおよそ半分に区切るように、腹部くらいの高さのカウンターが置いてあります。(日野)はそのカウンターの向こう側に在る者を見て見ぬふりをしてカウンターとは反対側ショーウィンドーをひと通り眺めました。

 

こう書くと永い時間のように思われますが、8帖くらいの空間ですから、入って眺め終わるまで5秒くらいのことです。

その5秒くらいのあと、あえて見ないようにしていたカウンターの向こう側の者が声をかけてきました。

 

向側「どうしましたか?」

日野「(なぜかしどろもどろ)ちょっと前にオモテに一才桜?があったように思って、」

とまだ読点(、)の段階なのにそこにかぶせるように

向側「ああ、そんなん。もう早いうちにないですよ。」(※1)

日野「」

 

向側「すぐになくなってしまうんですよ。今年はもう時期ちがうし(※2)」

日野「」

向側「来年入るかはわかりません」

 

こうしてカウンターの向こう側の者がしゃべっている時間、(日野)はひと言も発しませんでした。

そのまま(日野)が店から出ようとドアと押し開けました。

その空きにくいドアを押して(日野)の体半分が外に出かけると、いつのまにかカウンターから出てドアノブを握っていたカウンターの向こう側の者は、なんだか笑顔のようなものを見せながら、なにか言葉を発しながら、ドアノブを引いてドアを閉めてくれました。

 

向側の者がどう思ってドアを閉めたのかはわかりませんが、店の外からそれを見た(日野)としては、店から締め出されたような(※3)感情を持ったのでした。

 

以上が、春分次候の頃、事務所近くの花屋さんで起こったコトの顛末です。

 

このように不快な想いをしたわけですが、コトの顛末を書いて「不快だったよ」というだけではただの公開悪口です。

そんなものを書くつもりはありません。

 

ここにこの事の顛末を書いたのは、法務担当者として仕事をする上でこの花屋さんが反面教師になると考えたからです。

法務担当者として仕事をしていく上での心構えの話です。

 

–次回につづく–


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