【0198】熟読の技法(佐藤優『読書の技法』より) を読む 2 of 2

21-読解する技法

佐藤優『読書の技法』から「熟読の技法」を取り上げます。

表でいうと⑤言語の活用として扱います。

以下、“”内で書籍名のない引用箇所は<佐藤優 『読書の技法』>、下線があれば(日野)によります

次の引用の、第二読までを前回書いてきました。

熟読法の要諦は、同じ本を3回読むことである。
基本書は、最低3回読む。第1回目は線を引きながらの通読、第2回目はノートに重要箇所の抜き書き、そして最後に再度通読する。

<p63>

第二読の抜き書きがひとつ肝になるところです。

実行しようとすると何を書くべきか、試行錯誤することになります。

 

何を書くべきか?というのは佐藤優氏もよく問われるのだと思われます、

ノートの書き方について「第4章 読書ノートの作り方」として、1章を構えるほどの部分です。

その第4章からいくつか抜粋してみます。

読書ノートを作る最大のポイントは、時間をかけすぎないことだ。30分なら30分、1時間なら1時間と自分で時間を決め、それ以上、時間をかけないようにする。
時間を制限することで、抜き書きできる箇所はおのずと限られてくる。30分で書けるのは、おそらく600字程度のはずである。どの箇所を取捨選択するかも、記憶への定着に大きく寄与する。
大切なのは正確な形でデータを引き出せることと、積み重ねた知識を定着させることで、完璧なノートを作ることではない。

<p103>

どの部分を抜き書きするかは、自分が特に重要だと思った箇所でかまわない。それに加えて、コツとしては、自分が現時点では理解できなくても、重要だと推察されるところも1~2カ所、抜き書きしておくことである。

<p104>

「コメントに書くことが思い浮かばない」という相談も受けるが、最初は、「筆者の意見に賛成、反対」「この考えには違和感がある」「理解できる、理解できない」など自分の判断を示すもので十分である。
「わからない」「そのとおり」「おかしい」の一言でもいい。何らかの「判断」を下すことが重要だ。

<p104>

ここに引用した、時間をかけない・特に重要だと思った箇所と理解できないが重要そうな箇所・何らかの判断を下すこと、がポイント、というかヒントではないかと思っています。

 

ここから第三読“熟読法の要諦は、同じ本を3回読むことである。基本書は、最低3回読む。第1回目は線を引きながらの通読、第2回目はノートに重要箇所の抜き書き、そして最後に再度通読する。<p63>“の最後の通読に入ります。

 

その最後の通読の前に、第二読までで「結論」をみつけておく必要があります。

第三読にかける期間は3~4日である。もう一度、通読するのであるが、まず目次の構成をよく頭にたたき込んだうえで、結論部を3回読む。(…この結論と)本文の中で挙げられた事例や立論がどうかみ合っているかを考えながら通読する。<p69-70>

これもサラリと書かれていますが、高度な内容だと思います。

結論を見つける、結論を記憶する、結論と常に対応させながら本文を読む、

実行しようとすれば吐き気を催すほどの、緊張を伴う行為です。

 

普段している「読書」というものがいかに気楽なものか、ショーペンハウアーの“自分の考えを持ちたくなければ、その絶対確実な方法は、一分でも空き時間ができたら、すぐさま本を手に取ることだ<ショーペンハウアー=鈴木芳子訳『読書について』p10>という言葉を思い出しました。

 

ここで、「(気軽に)本を読む」ということと「熟読する」ということは別物であって、

後者は揶揄されるような行為ではなく、

「自分で考える」ということに相当近い行為ではないかと、

思い直した次第です。

 

――

さて、佐藤優『読書の技法』から「熟読の技法」として、

まずは1冊をどう読むかという観点で切り取り、取り上げました。

本来の「熟読の技法」「読書ノートの作り方」のなかには、

  • 基本書は奇数<p55>
  • 奇数冊のうちどれを読むかはまずは真ん中くらいのページを読んでみる<p59>
  • 2冊目以降は、「迷ったら書き写さない」という原則<p71>
  • 「ノートを作る時間がもったいない」への反論<p100>
  • 「ノートは1冊主義」<p102>
  • レーニンの読書ノートに学ぶ<p105> 等々

いろいろ書き置きたいことがあるのですが、まとめる力がないので、

本題である「読解する技法」に絞り込んで取り上げることとしました。

 

21-読解する技法


このページの先頭へ