【0038】ものごとの順序と大小関係 3 of 4

10-ビジネス法務11環境整備, 61契約手続き, 99引用

前回までのあらすじ  前々回【0036】は章立てと項目番号の大小関係を書きました。おさらいしておくと、
 章立ては、 編>章>節>款>目  条>項>号
 項目番号は、 1.>(1)>①>ア.>(ア)>㋐
でした。  そして、前回は、この順位の決まり絶対的ではないこと、その順序より、「同じレベルの項目建てになっているか」、そして「どれとどれが同列なのかを大づかみにできるかどうか」が重要だとしました。

 同列での付番の例として、都道府県とその市町村で考えてみます。

1.都

 

(1)東京都

 

 

①足立区

 

 

②荒川区

 

 

(略)

 

 

㉓目黒区

 

 

㉔昭島市

 

 

(略)

2.道

 

(1)北海道

 

 

(略)

3.府

 

(1)大阪府

 

 

①大阪市

 

 

 

ア.旭区

 

 

 

イ.阿倍野区

 

 

 

(略)

 

 

 

ネ.淀川区

 

 

②堺市

 

 

(略)

 

(2)京都府

 

 

(略)

4.県

 

(1)愛知県

 

(以下、省略)

 ここまでが前回までのおさらいです。
では、都道府県に項番をつけたこの表をみていきましょう。    項目番号の順序は、1.>(1)>①>ア としています。  都道府県がいちばん大きな括りなので、1.=都、2.=道、3.=府、4.=県とします。
 次の括り、(1)の階層で都道府県名、①の階層で市町村名、というところまでは疑問がないと思います。
 最後の括り、アの階層はどうでしょう。  3.(1)大阪府では、①が市町村、①の下であるアの階層で政令市の区が並んでいます。
一方1.(1)東京都では、①~㉓が23区、㉔が昭島市で、23区と市町村が同列になっています。    「おいおいおいおい!おかしいやないか、おんなし『区』なら東京の23区もアの階層に並べな!!」    …という反応を期待してこの例を出したのですが、どうでしょう。


政令指定都市は(…)組織面では、条例によりその区域を分けて区を設置し、(…)この区は、いわゆる行政区であり、(…)区の長は市長がその職員から任命する一般職の公務員となる。

<吉田勉 『はじめて学ぶ地方自治法』>

 同じ漢字で一口に「区」といっても、種類がある。


特別区とは、東京23区のことである。政令指定都市におかれる行政区と異なり、特別区は法人格を持ち、基礎的な自治体として市とほぼ同等の事務を処理し(281の2②)、(…)特別の規定以外は自治法の諸規定も市に関する規定がほぼ全面的に適用される(283①)。

<吉田勉 『はじめて学ぶ地方自治法』>

 こんな話は、公務員試験か行政書士試験の受験生くらいしか興味がないと思いますが、
 このような理由で、東京23区と市町村を同じ階層に並べることで、「同じレベルの項目建てに」することができているという例でした。    ではもうひとつ、同じレベルの項目建てにすることがどれほど大切かという観点から、もう一度民法の目次を見てみましょう。


民法 目次 (略)

第三編 債権

 

第一章 総則

 

 

第一節 債権の目的(399-411条)

 

 

第二節 (省略)

 

 

第三節 多数当事者の債権及び債務

 

 

 

第一款 総則(427条)

 

 

 

第二款 不可分再建及び不可分債務(428-431条)

 

 

 

第三款 連帯債務(432-445条)

 

 

 

第四款 保証債務

 

 

 

 

第一目 総則(446-465条)

 

 

 

 

第二目 貸金当根保証契約(465の2-465の5条)

 

 

第四節 債権の譲渡(466-473条)

 

 

第五節 (以下省略)

有斐閣 『判例六法』を基に(準備中)が作成>

 民法第3編をみると、第1章第4節には「目」までありますが、第1章第1節には「款」すらありません。
でも節と節では同列となっています。

 このように、すべての階層がそろっていることよりも、おなじ階層には同列の項目を並べることのほうが重要なのです。


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