【0084】ホウタンノソとプランB 7 of 7

11-連載-ブログタイトル95こぼれ話, 97最終話, 98おしらせ, 99引用

–前回までのあらすじ–

いま(日野)の手許にある5冊の本、書籍名で50音順に並べると4冊目<大久保=平本『ビジネス法務集中講義』>が元のブログタイトル「(名称準備中)が実践するビジネス法務」を名付ける上で重要な役割を果たしましたが、「ビジネス法務」も「(名称準備中)」もともにこのブログを始める段階では想像できなかった難所にブチアタリ、もうこのタイトルのまま続けていくのは無理。だけどこのブログは続けたく、このブログの名称は「ホウタンノソ」とし、管理人は「日野吉富」を名乗ることとして、各々その名の由来を前回に書きました。

おまけ:ここに5冊の本がある、といいましたがまだ4冊しか挙げていません

このテーマの冒頭【0078】で、「ここに5冊の本があります。いずれも事業会社で法務業務をする上で役に立つものです。」と書いて始まりましたが、まだ4冊しか挙げていません
途中で『プランB』が入ったので5冊あるように取れますが、元々考えていた5冊目は『プランB』ではないのでややこしく)。

5冊目<堀江『法務部門の実用知識』>

これは、元のブログタイトル「○○が実践するビジネス法務」の「○○」が許されるのかを調べていたときに出会った本です。(「企業内士業」と項目建てて、「企業内弁護士」だけでなく、「企業内司法書士」や「企業内行政書士」という単語を項目に挙げている本は他にはありません。少なくともこのブログを始める前後の大阪周辺の書店では見つけられませんでした。

そういう出会いでしたが、それとは別に、この書籍名が「ホウタンノソ」という新しいブログタイトルにつながっていきます。

書籍名は「法務部門の実用知識」です。
(日野)が考えていた元のブログタイトル「○○が実践するビジネス法務」と比べて、このように「法務部門の実用知識」とシンプルに言われると、

企業法務とかビジネス法務とかにこだわることない、と思わされ、
「○○が」もインハウスローヤー(とか「企業で働く法務博士」とか「企業内○○士」など)のような特殊な立場にこだわることない、と思いました。

 

書籍名だけでなく内容も触れておきたいと思います。
その内容は、書籍名のとおり知識を書かれていますが、その実はエッセイに近いと思います。

現実の法務部・法務部門に配属された人・法務担当者が考えていることの代弁であり、現実の法務担当者の日常そのものではないか、と思っています
思っていますという推測で確信ではない理由は、法務担当者である(日野)がそう思うだけであって他の法務担当者の誰にとっても日常ではないかもしれないからです)。
推測のままですが、これが法務担当者の日常そのものであるとして話を進めます。

ここまでの4冊<瀧川『企業法務のセオリー』><畑中『企業法務バイブル』><吉川=飯田『ハンドブック企業法務』><大久保=平本『ビジネス法務集中講義』>の「まえがき」を挙げてきましたが、どれもキラキラと輝く文章でした。法務部・法務部門に配属された人にトキメキを与える文章でした。

いわく「”法務の肝”は、それらとはまた別のところにあるのです。」と。
いわく「ビジネスのスピード感に遅れることなく、アクティブでかつ漏れのない法務活動をするための企業法務全般を総覧した実務書としては、おそらく日本初の試みではないか」と。
いわく「中級レベルの法務部員を目指す読者に向けて、求められる「法務力」の基準を示すことができるのではないか」と。
いわく「今までに得た経験・知識をマネジメント視点で再整理してさらに活用していくための方法論を説き、高度な実務対応力を備えたワンランク上のビジネスパーソンとなっていく道案内を示すものである」と。
今となってはキラキラとしたものを吹き飛ばすくらいの鼻息を感じます。

ここで5冊目<堀江『法務部門の実用知識』>でまえがきにあたる「はじめに」を読んでもトキメキを感じません。
<堀江>「はじめに」を要約して抜粋すると、

司法試験めざして法学部入ったけど方向転換して就職。入社しばらくして法律への想いが募って、司法書士試験に合格。以後複数社の法務部門での勤務を経て現在も法務担当者として勤務。

となるでしょうか。

この要約の第1文「司法試験の合格を目指したけど方向転換」が、法務担当として働いている人の現実だと思います。

トキメキがないのだけど、現実の法務担当者ってそんなもんじゃないのかな、と思います。
この対極にあるのが<大久保=平本『ビジネス法務集中講義』>ではないか、この商業的なモリ盛り上がり:キラキラとしたものを吹き飛ばすほどの荒い鼻息の対極にあるのが、<堀江>「はじめに」にある現実ではないかと思ってしまいます。

法務担当者の現実は日々にはキラメキはなくて、どちらかというと地味なもの。
絶対に必要なのに、それが脚光を浴びることはない。

一方で、それが正しい法務担当者の姿であります。
法務担当者は脚光を浴びるようではダメなのです。

脚光を浴びるということは、よっぽどの大事件を解決した時だと思います。
大事件が起こっている時点で、予防法務ができていないということで法務担当失格です。

なぜなら、
全社的に・幹部クラスまで話に挙がるから脚光を浴びるのです。
脚光を浴びるということは、フェーズが相当に進んでいる状態といえます。
相当にフェーズが進んでいるというのは、裏返すと、予防法務ができてないということです。
本来しっかりとした法務担当者であれば、問題が起こる前に芽を摘んでいます。
それが、芽を摘むどころか現実に問題となって経営幹部まで話題に挙がったところでもうすでに法務担当者としては仕事ができていません。

そういうもので、地味で表舞台には立たないけど、大切な役割を果たしていて、その役割がなくなれば裏舞台が崩れてしまう。表舞台しか目が向かない人はその仕事に気づかない。

それが法務担当の仕事だと思います。
それは悲観ではなく、身近な人の笑顔を見ることができる、表舞台を支えるために必要となる最高の仕事だという意味で、それが法務担当の仕事だと思います。

「法務部門の実用知識」とシンプルなタイトルをつけるほど(日野)の頭はまだ整理できておらず、だから、書こうと思っていることをつなげて「法務担当者の基礎となる知識および技法、其の実践ならびに問題解決の素」としました。
そういう経緯で、この「法務部門の実用知識」という書籍名が「ホウタンノソ」という新しいブログタイトルにつながっています。

ブログタイトルとからめて法務担当者に役立つであろう本5冊を挙げました。
ぜひ5冊とも手に取って、読み比べて欲しいと思います。

–完–

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