【0078】ホウタンノソとプランB 1 of 7

11-連載-ブログタイトル22民商法, 23労働法, 24消費者法, 25経済法, 26知的財産法, 29会計・税務, 41売買契約, 42委託契約, 43雇用関係, 79一般教養, 96第一話, 98おしらせ, 99引用

2017年(平成29年)2月28日以降、
このブログの名称は「(名称準備中)が実践するビジネス法務」を改め「ホウタンノソ」とします。
同時に、管理人は(準備中)を卒業して「日野吉富」を名乗ります。

ここに5冊の本があります

さて、ここに5冊の本があります。いずれも事業会社で法務業務をする上で役に立つものです。書籍名を50音順に並べて順に紹介してみます。

1冊目<瀧川『企業法務のセオリー』

まえがきである「はじめに」に書いてある筆者の問題意識(と思われる箇所)を要約してみます。

大手書店の書棚には、企業法務を題材とした書籍が所狭しと並んでいますが、(…)“法務の肝”は、それらとはまた別のところにあるのです。(…)経験の浅い法務担当者が一様に悩んでいるのは(…)法務業務の方法論に関わるものであり、法律や契約書に関する知識を深めて解決できる類のものではないのです。

(中略)

そして、本書の執筆を志したもう1つの理由には、昨今の法務部を取り巻く環境の変化があります。筆者がまだ駆け出しの法務担当者であった20数年前(…)当時の若い法務担当者は、徒弟制度的なOJTの中で法務のイロハを学んでいったのです。(…)このようなOJTの重要性は、もちろん今もまったく変わりありません。しかし、(…)昔ながらのOJTだけでは、そのようなニーズにこたえることが難しいのです。

このような問題意識から、まず心構え、次にスキル(ヒアリング、文書の書き方、調査など)について書かれています。その上で具体的な場面(売買契約・委託契約、紛争、渉外など)を設定して「こういう場面ではこんなことが考えられるよ」という例示程度の話が続きます。

初歩の初歩、であるからこそ、馬鹿にすることなく定期的に読み返すべき内容になっています。

2冊目<畑中『企業法務バイブル』

こちらもまず、まえがきにあたる「はじめに」から、この本のテーマ(につながると考えられる箇所)を引用してみます。

企業法務ニーズの高まりを反映して、法務関連図書の刊行が増加してきていますが、民法、会社法、金融商品取引法といった各法体系に応じてドグマティックに整理されたものがほとんどであり、法体系を横断してダイナミックに展開していく現実のビジネス活動に適合したものはあまり見かけません。

(中略)

また、企業法務は学術理論と実務が非常に乖離しており、有名大学法学部やロースクールの会社法の授業を受けたからといって、その直後から商事保全の申立書や株主代表訴訟の答弁書を書けたり、敵対的買収防衛への対応策を指南したり、会社の定款やライセンス契約を起案できるわけではありません。

本書は、このような企業法務分野における課題に応えるべく、以下のような特徴を持たせました。

  •  経済現象・ビジネス活動を主軸にして、法務活動の整理・体系化を行い、ビジネス活動に即応した法務課題発見が適切に行えるようにした
  • (…)

(中略)

ビジネスパースン向け法務ガイドという本書の内在的制約から、細かなデータを載せられませんでしたが、必要なブレイクスルー方法を記述するとともに、所要データへのアクセス方法も具体的に記述しており、一般的企業が直面するであろうほとんどの法務課題に関しては解決に辿り着ける手がかりを残しているはずです。

このような思想のもとに、まず第1部は時系列(環境整備、法務戦略構築、予防対策、有事対応のように4段階)で全体像を示したあと、第2部以降は分野別(ファイナンス、製造、労働、知財など)・場面別(M&A、倒産再生、反社、渉外など)に各論という構成となっています。

本文には自作の資料にそのまま使えるレベルの図表が多用されています。それらの図表や本文にも出典がしっかり記載されていることも実務向きです。

この本は、「目の前の事例に対して分野・場面までは特定できるレベルの人が、列挙するべき項目を網羅的に洗い出すために使う、『バイブル』という書名がふさわしい本」だと思います。

–次回につづく–

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