【0079】ホウタンノソとプランB 2 of 7
–前回までのあらすじ–
3冊目<吉川=飯田『ハンドブック企業法務』>
こちらもまず「はじめに」から引用してみます。
“
法務部門に配属された人材が最初に悩むことは、どのように業務を進めたらよいか、ということである。「マニュアルはないのでしょうか?」と聞いてくる新人もいるが、法務部門はマニュアルのみで業務を処理する部門ではない。
業務の処理方法は各社で異なるため、それらを1つにまとめ、示すことは難しいが、どの会社にも当てはまるコアな知識というものが存在するのも事実である。そこで中級レベルの法務部員を目指す読者に向けて、求められる「法務力」の規準を示すことができるのではないかと考えるに至った。
“
最初に挙げた瀧川『企業法務のセオリー』を難しくしたような内容。逆に、言い換えると、(「中級レベルの法務部員を目指す読者に向けて」と書いてあるくらいです)「中級レベルの法務部員」にとっては<吉川=飯田>くらいの歯切れのよさでちょうどよく、<瀧川>だとちょっと生ぬるいというのか、説明過剰に感じるのかもしれません。
「おれもいよいよ中級レベルか」と感慨にふけるために利用してもよいかもしれません。
ちなみに、3冊目<吉川=飯田>を1冊目の<瀧川>と比較しましたが、どちらも版元は同じくレクサスネクシス・ジャパンです。
4冊目<大久保=平本『ビジネス法務集中講義』>
ここでもまずまえがきにあたる「はしがき」から引用します。
“
本書は、ビジネス法務の実務に携わっており、また学習に取り組んでおられる方々に向けて、今まで得た経験・知識をマネジメント視点で再整理してさらに活用していくための方法論を説き、高度な実務対応力を備えたワンランク上のビジネスパーソンとなっていく道案内を示すものである。
(中略)
本書では、ビジネス法務の現実的課題を、ステークホルダーマップ上においてカテゴライズし、マネジメント上の意義を明確にしていく。(…)このステークホルダーマップを、我々は「LSMAP(Legal Stakeholder Map)」と命名した。(…)方法論であるLSMAPを用いた思考方法を身に付けることは、現実のビジネスにおける法的課題の所在と、そのマネジメントにおける意義を自ら指摘できる真の管理職レベルの力を獲得していくことにつながるだろう。
“
ここで引用したように、本書はLSMAPを中心に本文が展開していきます。
LSMAPは、この本の著者による独自の言葉で、自社を中心として、内部関係(株主・従業員など)と取引関係(サプライヤ・顧客)を置き、さらにその外枠に外部関係(同業他社・公的機関)をマッピングしたものです。このLSMAPの視点は確かに問題点の整理に役立ちます。
もうひとつこの本が重要なのは、「ビジネス法務とは何か」について、語っているということです。
敗軍の将は謀らず:元のブログタイトルについて(前)「ビジネス法務」
閑話休題。
冒頭でこのブログのタイトルについて述べましたが、元のタイトルであった「(名称準備中)が実践するビジネス法務」を名付ける上で、この4冊目<大久保=平本>が重要な役割を果たしています。
ブログタイトルについては【0001】~【0010】で語っています。
このときも書いていますが、元のタイトルを検討し始めた当時は「企業法務をカタカナ語にしたらビジネス法務なんでしょ?」くらいの認識でした。
そんな状況から(ブログタイトルとして採用するために)色々と調べた結果として、【0005】「ビジネス法務」とは 4 of 4でこのブログにおける「ビジネス法務」を定義しています。抜粋してみます。
“
”
企業法務とは、企業経営に関わる法律業務全般を指します
<畑中鐵丸『企業法務バイブル』>
”
これも
”
企業の法務部門で働く者が担う高度な専門的職責としてのいわゆる「企業法務」と比較すると、「ビジネス法務」は、ビジネスパーソン一般が必要とするものであって、ステークホルダー・マネジメントの一環としての色彩が強いと言えよう。
<大久保紀彦 他『「ビジネス法務」集中講義』>
”
整理しましょう。