【0135】ホウタン的日本酒入門(全) 2 of 2

91-ホウタン的××入門97最終話, 99引用

–前回までのあらすじ–

仕事にはなんら関係ないと思うような話でも仕事に役立った経験からこのブログにも趣味で調べたことを書き残しておこうと考えたわけですが、それにしても日本酒の話を書いていいものか、迷いましたが実際書いてみて書いたことをあらすじにまとめて振返ってみると、前半では国税庁告示第8号が引用され、日本酒の世界にも法令が深く関わっていることがわかり後半では「上原図」のような四象限が複数出て、日本酒のこともホウタンノソとまったく無関係ではないと改めて思いました。最後にもうひとつ、以上は書いてみて気づいたもので、それよりホウタンノソに関係の深い話

最後にもうひとつ、ホウタンノソに関連のある話をして締めたいと思います。

次の文は、上原『純米酒を極める』からの引用です。

酒には必ずつくり手の本性が現れるということだ。同じ米と水、同じ酵母を使ったとしても、つくり手が違えば酒は違ってくる。たとえ数値の上ではおなじでも、味は同じにはならない。同じ酒造家がつくっても、気持ちの入れようが変われば、酒は別物になってくる。これは何も不思議なことではない。酒は麹菌や酵母などの生命活動によって醸される生き物だ。(…)科学万能の現代においても、理屈で説明できないことはある。そこで重要になってくるのがつくり手の勘だ。ここで言う勘とは、神通力の類ではない。無数の経験の積み重ねによって発揮される瞬発的なひらめきである。その勘は無駄に長く酒造りを続けていても得られない。剣が峰を踏破するが如き、ギリギリの選択を迫られる場面を多く切り抜けてこそ身に付く力である。そして、その発揮のされ方も、そのときつくり手がどれだけ真剣に酒と向き合っているかによって違ってくる。

上原浩『純米酒を極める』p229-230 下線は(日野)による

この勘のような話は、既視感があります。

法務担当者にも「勘」が要求されるという話を、たとえば「【0053】法務担当者のためのキャリアデザイン考 5 of 5」で以下のように書いています。

法務担当者はスペシャリストではなく、プロフェッショナルを目指さなければならない、というものでした。

法務担当者が身につけるべき最も重要なもののひとつが「勘」であって、その「勘」はプロのプロたる特徴なのである。

さて、どうでしょうか。

こうして2つの引用文を並べてみると、酒造家が発揮するべき「勘」というのは、法務担当者に求められる「勘」よりもよりレベルの高いもののように感じますが、それはきっと文章を書いている人間の熟練度の差によるものです。

 

法務担当としても人としても未熟な(日野)の文章を上原氏の文章と並べたことがまちがいなだけです。

とはいえ、言っていることのベクトルは、大小の差はあれど、方向は同じように感じます。

 

兎にも角にも、このような職人が、精魂込めて丹念にこしらえた物が日本酒なわけですから、飲み手としても真剣に向き合って、数値や理屈だけでなく官能で感じるべきだと、そのように思います。

 

–本編完–

91-ホウタン的××入門97最終話, 99引用


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