【0160】読解力の向上に資すること、その手がかり オマケ
【オマケ】「読み書きそろばん」が時代によって変わったとして「現代文読解」は常に最も重要
本文では、「理解する→考える→主張する」という流れを導出するために読み書きそろばんを用いましたが、四技能だけみても「読む」の重要性を主張することができます。
まず、読むと聞くの関係における読むの重要性
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私はふだん、ほとんどビジネス英語しか使う機会がないので、ビジネスの英語だったら特に苦もなく読み書きもできるし、話すこともできるのですが、コメディ映画とかトレンディ映画は苦手で、(…)なぜなら、映画で話している人のボキャブラリーが、私の持っているボキャブラリーと違うからです。やはり、知らない単語は聞けない、すなわち、読めないものは聞けないのです。
<勝間和代 『無理なく続けられる年収10倍アップ勉強法』p151 下線は(日野)による>
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そのとおりだと思います。
目で見て読んだことのない言葉は聞き取れません。
たとえば、我が社による情報漏えいが疑われる事案で弁護士事務所に先生のお話を伺っているとします。そのなかで先生が「フキョーホーデワ」とおっしゃったとして、このとき、知っていれば「フキョーホーデワ」を「フキョウホウデハ」と変換できますが、その先入観なしに一度唱えてみてください、「フキョーホーデワ」
情報漏えいの話だから営業秘密の要件が問題になりその要件は不正競争防止法に規定されていることを知っていたとしても、おそらく、
不正競争防止法を不競法と省略する記述を見たことがなければ、「フキョーホーデワ」と聞いて「不正競争防止法では」とは変換できないはずです。
読んだことのない言葉は聞き取れないとして、書くと話すはどうか。四技能すべて並べてみても「読む」がはじまりです。
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日本人の外国語学習には話す・聞く力と書く力が欠けているといわれるが、どこの国の外国語学習においても事情は同じだ。日本人だけがアンバランスなわけではない。基礎に読む力がなければ、話す力も書く力もついてこないのはあたりまえのことだ。
<白取春彦 『勉学術』p127 下線は(日野)による>
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どんなに思考法を鍛えても知らない言葉で思考することはできません。
思考にない言葉を書くことはできませんし、まして話すことなどできません。
そうはいっても“子どもは書くことはできないけど話す”よね、ということを反論でおっしゃるかもしれません。
では、その子どもの話す内容を思い返してみてください。
どうでしょう、
事実を述べることはできます、
簡単な欲求を主張することもできます、
でもそれだけのことです。
言い換えると、書くがまだの子どもが話すことは「xxしたよ」「xxしたい」に集約できるのではないでしょうか。
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「外国へ旅行に行ったときなんかに通訳なしで買い物できて、あとは向こうの人とちょっと世間話ができるくらいでいいの」と安易に言う人がいるが、外国で初めて出会う他人と世間話がちゃんとできるくらいの会話力は外国の大学に入る語学力よりも高いということを知らないらしい。(…)少しくらい発音よく喋れたとしても、内容がないならばどうしようもないのだ。ちゃんとした知性のある会話をするためには、知性のある文章を理解する力がなければならないのはあたりまえのことだ。外国語も言語である以上、重要なのは音ではなく意味であり、その内容なのである。
<白取春彦 『勉学術』p124-126 下線は(日野)による>
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たとえば外国語として英語を学ぶとして英会話教室に行くとします。
文法も語彙もなく会話だけ、発音だけ良くしたとしても、言っている内容が子どもと同じ「xxしたよ」「xxしたい」だけでは、その話し相手もその時だけは聞いてくれるでしょうが、その時だけのことです。
(それとも、その「xxしたよ」「xxしたい」という話をその時だけすることを世間話と言うのかもしれないが、)
「理解し→考えて→伝える」の「伝える」だけがよくてもあかんという話です。
会話をバカにしているわけではなく、言葉を活用する「読む」「聞く」「考える」「書く」「話す」のなかでもっともむずかしいのが「話す」だということです。
「話す」をできるためには、その前段として伝えるべきことを「考える」ことが必要で、「考える」ためにはその前段として相手の主張を理解できなければなりません。
相手の主張を理解するには相手の主張を「聞く」か「読む」ことができなければなりません。
そして先に書いた通り、読めないものは聞けないのです。
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たいして意味のない会話をしたり、いかにも外国人らしい発音が少しの数の単語だけできるよりも、文章を読めるようになるほうがまずはずっと重要なことだ。外国語理解のベースは常に読む力だ。読めることは、仕事はもちろん日常の多くの場面において実際に役立つ。
<白取春彦 『勉学術』p125 下線は(日野)による>
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外国語に限らず、国語のベースは常に読む力であると思います。
そして、読む力をつけるためには読み続けるしかないようです。
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読む力を直接に育てるのはただ一つ、とにかく読み続けていくということしかない。これは日本語も同じことで、多く読んだ人だけが文章の理解が速く上手くなる。
<白取春彦 『勉学術』p127-128>
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さらに、身に付けた読む力の維持のためにもまた読むしかないようです。
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毎日、最低数十ページは外国語の本を読むようにしている。これは基礎運動のようなもので、外国語にまったく触れない期間が1カ月くらいあると、語学力は急速に減退するからだ。
<佐藤優 『読書の技法』p252 下線は(日野)による>
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これは、外国語に限らず母国語であっても、「読む」ためには読み続けるしかないという話ではないでしょうか。
加えて、ただ単純に何時間読んだからOKという話ではなく、質の問題はあるはずです。
効率よく「読む」ためのコツ、「読み続ける」ためのコツ、読む力を維持するために効果的な「読む」もあるのではないか、ということも次回以降のお話です。
–いったん完–