【0196】佐藤優『読書の技法』 を読む
読解する技法の具体に入ると宣言した前回、
最初に選ぶ本、気負ってしまうところがありますが、これにしました。
佐藤優『読書の技法』です。
なんといっても、この本がなかったらこのテーマ「読解する技法」は起こらなかったわけです。
過去の投稿に次のように書いています。
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“
論理を読み解くという切り口から見ると、確かに現代文は数学と親和性が高くなる。出口氏は、次のように指摘する。
“現代文は数学とまったく一緒なんです。数学は論理を記号や数字を使って表すもの。それに対して、「論理」を日本語によって表したのが現代文の「評論」です。だからこの二つはいちばん近いんだね。(…)例えば、上下運動する球を両端から糸で引っぱってごらん。球は止まるでしょ。同様に文書の中で言葉は、無数の糸で引っぱられているのです。引っ張られて意味が決まる。その働きが文脈の力というものなんです。(…)文脈によって言葉を規定していけば、言葉は固定化されます。そうすると、言葉は揺れ動かず、数学の記号と同じになってくる。その結果、現代文は感覚の教科から論理の教科に早変わりするわけですから、数学と同じように明解に解けます。(後略)
<佐藤優 『読書の技法』p183-186 下線は(日野)による>
“
この引用部分がまた強烈で、振返るとこれがクリティカルでした。
無意識に読んでいた文章がこの意識を持つことで見方捉え方が変わるのではないか、ということに気づき、
実は読解ができていないのではないか、
という疑問を、初めて、持った瞬間でした。
佐藤優氏が書いてますが、(日野)も同じくで、勉強してもしなくても現国の成績は悪くはなく、少なくとも他人よりはできていたはずの現代文読解です。その現代文読解ができていないのではないかという疑問を初めて持ちました。
そのように読解ができていないのではないかという疑問を持つことで、それ(読解ができていないということ)が、最近感じていたコミュニケーション上のつまずきの根源ではないか、という仮説を得ることにつながりました。
”
このできていると思い込んでいた読解ができていないのではないかという疑問がこのカテゴリー「読解する技法」の根源です。
だからこそ、それに気づかせてくれた本である、佐藤優『読書の技法』こそ、いよいよはじまる読解する技法の第一歩にふさわしい、これを置いてほかに何を、というところではあります。
ただこの本、(日野)にとっては情報量が多いので、取り上げることに躊躇い(ためらい)があるのも事実です。
一度目次を眺めてみましょう。
001 |
はじめに |
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第Ⅰ部 |
本はどう読むか |
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023 |
第1章 |
多読の技法 |
047 |
第2章 |
熟読の技法 |
075 |
第3章 |
速読の技法 |
099 |
第4章 |
読書ノートの作り方 |
第Ⅱ部 |
何を読めばいいか |
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111 |
第5章 |
教科書と学習参考書を使いこなす |
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【世界史】【日本史】【政治】【経済】【国語】【数学】 |
211 |
第6章 |
小説や漫画の読み方 |
第Ⅲ部 |
本はいつ、どこで読むか |
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第7章 |
時間を圧縮する技法 |
267 |
おわりに |
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正直、巻頭グラビア(仕事場やノートの写真)と「はじめに」だけでも気圧されるものがあります。
そこからは、熟読(2章・4章)・速読(3章)、基礎知識の身に付け方(5章)と続き、エッセイ的な内容も散りばめられています。
この本は、読みようによって、そのときに得たいのが何かによって、ちがう情報を受信できる本だと思っています。
そこで今回は、すべてを拾うことは最初からあきらめて、まずは、「熟読の技法」を取り上げます。
分類するなら「読書術」になるでしょうか。表でいうと⑤言語の活用に含めます。
–次回につづく–