【0203】速読の技法(佐藤優『読書の技法』より) を読む 4 of 5

21-読解する技法

本投稿においても、”“内で書籍名のない引用箇所は<佐藤優 『読書の技法』>、<>内は同書のページ数、下線があれば(日野)によります

 

前回の最後に、「普通の速読」と「超速読」では目的が異なり、

目的が異なるので方法も違うということを書きました。

超速読ではページを見る、普通の速読は文字を追う、という違いです。

 

この違いをもう少し具体化すると、(1ページ500文字と仮定して)

「400ページを5分で見ること」と「200,000文字を30分で追うこと」との違いです。

1分当たりに言い換えると、

「1分で80ページ見ること」と「1分で6666文字追うこと」との違いです。

伝わらないでしょうか。もう一つ細かくすると、

「1秒で1.3ページ見ること」と「1秒で111.1文字追うこと」との違いです。

時間は同じでも、ページと文字で単位が異なるということ、見る対象が異なるということです。

 

 

さて、「200,000文字を30分」というのは「1秒で111文字」だとわかりました。

「1秒111文字」はなんとかできそうでも、それを30分続けなさいといわれると無理があるように思います。

力を入れて追う場所、そうでもない場所という具合に、緩急をつける必要がありそうです。

 

<p94>には“【普通の速読の技法5】――本の重要部分を1ページ15秒、残りを超速読する”とあります。

 

普通の速読をするためには、超速読で当たりをつけていることが前提となります。

超速読で当たりをつけた重要部分の文字を1ページ15秒ペースで読むのが普通の速読ということになります。

 

ここまで1ページ500文字として「400ページを5分で見ること」と「200,000文字を30分で追うこと」を比較してきました。

「1秒で1.3ページ見ること」と「1秒で111.1文字追うこと」の比較で、後者の111文字/文字を30分続けるのは無理があると。

同じように1ページ500文字と仮定して“1ページ15秒”を換算していくと、

「1ページ15秒」=「500文字15秒」=「1秒で33.3文字」 となります。

1秒で33.3文字も難いように思いますが、1秒で111.1文字に比べれば、約3分の1の量です。

本すべての文字を急いで目で追うのではなく、普通の速読をするべきである箇所とそうでもない箇所を分けておくことが重要になってきます。

普通の速読をする前に、普通の速読をするべきである箇所を見つけておくことでしか、“400ページ程度の一般書や学術書を30分程度で読む”≒“重要部分の文字を1ページ15秒ペースで読む”ことはできません。

 

そこで、「普通の速読をするべきである箇所を見つかる」ために、次のようなことを実行していくことになります。

 

“経済的に許す範囲内で、書籍、雑誌に関しては、「迷ったら買う」の姿勢を原則にし<p91>”

“普通の速読の場合も(…)重要な箇所を丸で囲んだり、傍線を引いて識別できるようにし、そのページにはポストイットを貼る<p92>”

“内容に引っかかってしまい、同じ行を何回も読み直すこと(…)を直す技法がある。定規を当てながら速読する<p92>”

“市販の速読術の本には、目の動かし方やページのめくり方が書かれてあるが、そうした中で参考になる技法はどんどん取り入れ<p91>”

 

という具合です。いかがでしょうか。

 

(日野)個人の感想をいいますと、

熟読の技法では、実行しようとすれば吐き気を催すと書きましたが、

普通の速読に関しては、実行できる気がしません。

超速読ができることが前提となります。

前提となる超速読の段階で当たりをつけられる程度に基礎知識のある分野でしか使うことのできない技法です。

 

“次に熟読法・速読法を通じて最も難しい「普通の速読」の技法について(…)<p88>“

とありますが、まさにそのとおり、最も難しい技法であると思います。

その最も難しい技法である「普通の速読」を身に付けるために努力する時間を使って、「熟読の技法」と「超速読」を身に付けたほうがよいのではないか、というのが次の話です。

–次回につづく–

21-読解する技法


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