【0223】古典を読む おまけ 2 of 3

21-読解する技法

前回に引き続き、いろいろの会社から、いろいろの翻訳やいろいろの大きさで出版されている古典のなかから、(日野)が選んだものを、理由なども交えながら、列挙してみます。

前回に『論語』『スッタニパータ』『古事記』と挙げました。

続いて西洋の古典『聖書』とプラトンです。

 

西洋の古典ならまずはこれ 『聖書』

フェデリコ・バルバロ訳『聖書』

これを選んだのは、『スッタニパータ』と同じパターンで、白取『勉学術』に講談社バルバロ訳がいいとあったからです。

“日本で入手できる聖書で注釈と参考図版がもっとも充実しているのは講談社から出ているバルバロ訳の聖書である。これを注釈と図版を含めて一通り読んでおけば、それ以降の理解度がまったく変わる。一日に三時間読むとすれば、聖書全巻を読み終えるのに約一ヵ月かかる<白取春彦 『勉学術』p105>“

 

今回この投稿を書くにあたって、あらためて何冊か見てみましたが、結果(日野)にとっては、このバルバロ『聖書』がいちばんでした。図版もよいのですが、各書の初めにある解説がコンパクトで必要十分ですし、なにより本文がよいです。(古文ではなく)現代文なので普通に読めて、かつ、口語でもない。ちょうどよい堅さ、という感じです。

ただ、持ち歩けるサイズではないので、新約だけ別のものを買い足したいとは思っています。

 

 ちなみに、白取『勉学術』では、上記の引用箇所のすぐあとに、最低限これだけはという文書を、創世の書から始まり旧約で6つ、新約で5つ、挙げられています。(この部分だけでも定価の1,400円を支払う価値があると思っているので、引用はやめておきますが

また、加藤『読書術』では “新約と旧約を合わせると論語よりはるかに大きい本”としつつ“新約聖書を繰り返し、できるだけゆっくり読むこと”を薦めています。<加藤周一 『読書術』p48参照>

 聖書となると、ものすごい文書の量で、内容も最初はなかなか頭に入ってきませんが、この2つの記述(白取『勉学術』から“旧約で6つ、新約で5つ”と加藤『読書術』から“新約を~”)を合わせると、これだけは読んでおくべきという文書の量を相当減らせますので、まずは気軽に手に取ってみるとよいと思います。

 

西洋の古典の第二であるギリシャ思想(の便宜的な代表)としてプラトン

前期著作から『ソクラテスの弁明』

田中美知太郎 他訳『プラトン ソクラテスの弁明ほか(中公クラシックス)』

これを選んだのは『論語』『古事記』と同じパターンで、書店で読んでみて読みやすかったからです。『論語』『古事記』と違うのは“読み比べてみていちばん”ではなく、この一冊だけを手に取って見てそのまま買った感じで、他の物とは比較せず、一目ぼれというような選び方でした。

新書サイズで(500ページ超え2.5cmの厚さではありますが)文字の大きさ・配置に無理がなく、紙質もちょうどよいです。

加えて、冒頭に置かれている30ページ超の解説もとてもよいです。前期・中期・後期に分けたうえで主要著作を列挙されていたり、プラトンが『ソクラテスの弁明』を著作するまでの経緯があったりなど、プラトンに関して前知識ほぼゼロの状態からでも、挫折なくすんなりとその著作を読み進めることができる、良書だと思います。

さきほど厚さが2.5cmと書きましたが、解説が30ページ超、『ソクラテスの弁明』が90ページ弱で、合わせてもせいぜい120ページくらいなので、このくらいなら我慢して読み進めることができるのではないでしょうか。(書名の『ソクラテスの弁明ほか』の“ほか”として『クリトン』と『ゴルギアス』が収められていて、特に『ゴルギアス』が本書の2/3ほどを占めます、(日野)はまだ読めていません
そしてそのせいぜい120ページを我慢してでも読み通せば、その果実として、哲学のなんたるかを感じることができるのではないかと思います。

 

中期著作から『饗宴』

(まだ読んでないので、別途)

 

後期著作から『法律』

(まだ読んでないので、別途)

 

 

以上、(日野)が選ぶ古典(論語、スッタニパータ、古事記、聖書、ギリシャ思想(の便宜的な代表としてのプラトン))のブックガイドでした。

–次回につづく–

21-読解する技法


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