【0268】予選の予選はできない 応用編

10-ビジネス法務

前回【267】予選の予選はできないで、下の表は手順がまちがっているということを書きました。

【表1】

項目

日付

取締役会構成員

① 議題決定の取締役会

6月20日(月)

代表A、B、C

② 株主総会招集通知の発出

6月21日(火)

代表A、B、C

③ D氏を7月1日付で取締役に選任する株主総会

6月29日(水)

④ D氏を7月1日付で代表取締役に選任する取締役会

6月29日(水)

代表A、B、C

⑤ 代表取締役Dの就任

7月1日(金)

代表D、B、C

⑥ 代表取締役D就任の登記申請

7月15日(金)

④と⑤です。

 

予選(③で居ない人間を取締役に選任)はできるけど、

予選の予選(④で居ない人間を代表取締役に選任)はできません。

 

根拠条文は、こちらだそうです。

会社法362条3項 取締役会は、取締役の中から代表取締役を選任しなければならない。

Dさんが取締役に就任して、ボードメンバーとなってから代表取締役の選任をしましょう。

 

では、下【表3】の場合はどうでしょうか。

【表3】

項目

日付

取締役会構成員

① 議題決定の取締役会

6月20日(月)

代表A、B、C

② 株主総会招集通知の発出

6月21日(火)

代表A、B、C

③ D氏を7月1日付で取締役に選任する株主総会

6月29日(水)

④ B氏を7月1日付で代表取締役に選任する取締役会

6月29日(水)

代表A、B、C

⑤ 代表取締役Bの就任、取締役Dの就任

7月1日(金)

代表B、C、D

⑥ 代表取締役B就任と取締役D就任の登記申請

7月15日(金)

トップである代表取締役Aが引退するので、取締役のなかでナンバー2のBがトップになる、
このほうがよくありそうなパターンです。

え~っとですね、問うておいてなんですが、確実な答えを持っていません。

 

予選の予選はできないことの根拠が、会社法362条3項でなるならば、

④で取締役ABCのなかから代表取締役Bを選任しているので、OKだと思っています。

が、実際にその場面になったことがなく、
一度大汗・大冷汗をかきながら役員に説明して回った身としては、BCDが揃う前に代表取締役の選任決議をしようとは思えません。

(日野)が担当であれば、
7月1日に取締役Dが就任してから、取締役会を開催して代表取締役の選任決議をしてもらいます。

 

なぜか、なぜそこまで慎重なのかと言いますと、

前回【0267】で書いた手順の誤りは、
幸い、事前相談でわかったので、ボードメンバーに頭下げて回るくらいで済んでよかったです。

これが、登記申請後にかかってくる「補正してちょうだい」の電話で判明したとなると、
社内に頭下げて回るだけでは済みません。

その間、今回のである【表1】でいうと7月1日~15日の間に、
D氏が代表取締役としてした意思決定がすべて無効になると考えるとどうでしょうか。

少なくとも2週間、
現実には、登記申請から「補正してちょうだい」の電話までさらに1~2週間は間が空きます。

たったの2週間、されど2週間です。

その間に締結した契約で代表取締役が意思決定したものが1件でもあれば、
取引先様になんて説明するのでしょうか。

正式の手続き後に追認すれば遡及して有効なのでしょうか?
考えようとするだけで冷やっとします。思考回路が強制シャットダウンです。

どなたか、やってみて、答え(=法務局見解)を教えてください。

 

–次回につづく–

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