【0207】商標法を学ぶ前に 1 of 3

10-ビジネス法務26知的財産法

知的財産法という分野があります。

いま手許にある知的財産管理技能検定のテキストを開いてみますと、法律名では、
特許法、実用新案法、意匠法、商標法、著作権法などが挙げられています。

(日野)の業務上は、特許・実用新案、意匠は関わることがほとんどありませんが、
商標権、著作権を日常的に扱っていて、1年に一回くらい非日常的に扱うことがある、という感じです。

 

そんな(日野)にとって、知的財産法はむずかしい。
というのが率直な認識です。

なにが難しいかというと、無体物であるというところに行きつくと思います。

形がない、観念的で、考えれば考えるほど、理屈が合わなくなる。
どうにも合点がいかない。
そういう難しさです。

 

前回【0206】結果の報告を期待しないことで引用した小谷『商標教室』という本があります。

前回はコラムからでしたが、本文が秀逸です。

そこでこの小谷『商標教室』を引用しながら、知的財産法の捉え方を押さえておきたいと思います。

 

まず、次の文です(またしても本文ではなくはしがきからですが・・・

弁護士、弁理士、企業の商標担当者らと活発な議論を重ねてきました。そこで痛感したのが商標感のあまりの違いです。裁判官の見解も学者の見解も、そしてわれわれ弁理士や弁護士として日常商標実務に携わっている者の基本的な見解が、皆違っていることに愕然としました。

小谷武 『商標教室(基礎篇)』p2 下線は(日野)による>

「商標感」という見慣れない言葉が出てきます。

そして“基本的な見解が、皆違っている”という言葉が出てきます。
­­これは実務で知的財産を扱っていて、何か問題が起こると強く感じるところだと思います。
弁理士、弁護士それぞれで言っていることが違う、ということがよくあります。
本を読んでも、弁理士の書いた本と弁護士の書いた本では書きぶりが違うように感じます。
相談に行くと、弁理士と弁護士ではまったく違う見解が出たりします。

 

(日野)の体験上は、弁理士と弁護士で言うことが違う、というところまででしたが、
この引用箇所では“裁判官の見解も学者の見解も、そしてわれわれ弁理士や弁護士として日常商標実務に携わっている者の基本的な見解が、皆違っている”とあります。

学者はともかく、裁判官まで違うんだと言われると、
司法試験も受けていない法務担当者である(日野)なんかは知財に関して「判断できませ~ん」となってしまうのも無理はないように思ってしまいます。

これに関しては「弁護士・弁理士が裁判に合わせなさいよ」と言いたいところですが、同じく小谷『商標教室』p124に“出願中の商標を登録商標と誤認”した上でなされた裁判例が挙げられています。

–次回につづく–


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