【0103】国語辞典の選び方 2 of 7
国語辞典の選び方
前回のテーマのなかで次のように書きました。
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テキストは、学部生向けのテキストと資格試験向けのテキストがあって、性格がまったく違い、どちらがよりよいか、ということではなく補い合う性質の物だという話でしたが、視点を変えて辞書はどうか、経営学の分野で辞書を見るとなると、まず「経営学」+「辞典」という名称の書籍から「××学辞典」を見てみると、想像以上に回りくどい。
専門家のための専門的な辞書は専門家にしか解らない物であって、素人には使いこなせない物になっています。
そういう専門的な辞書をチラ見しながら、それを使いこなせる日を夢見つつ、横に置いておいておきましょう。
実際に言葉を調べるとっかかりとしては、国語辞典がよいです。
<【0099】「法務担当者はスタッフであるから」というときのスタッフ(後) 2 of 3>
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業務で調べものをするとなると、まずはテキスト(民法ならオウミンとか)や専門的な辞書(ex.法律学辞典)が思い浮かびます。しかし、その前にまずは国語辞典がいいです。
という内容を前回のテーマの中で書きました。それは間違いないと確信していて、そうであれば、
どの国語辞典がいいのか、
なにをもって国語辞典を選ぶのか
というのが今回のテーマです。
国語辞典を分類してみる。キーのひとつは出版社、もうひとつは大きさ
まずは大きさで分類してみる
国語辞典を選ぶ となったときにまず気になるのは大きさだと思います。
国語辞典と聞いて通常思い描くのは、中学・高校で持たされたときにはロッカーの中に置きっぱなしになっていた、あの1000頁程度の物ではないでしょうか。
(日野)がよく取り出す「旺文社国語辞典」がこのサイズです。
それより小さい物では「ポケット~」と題して本当にポケットに入りそうな物もあります。
(日野)の持ち物の中では三省堂「デイリーコンサイス英和辞典」のサイズが感動的です。大きさでいうと、厚めで背が高い新書くらいのモノです。
国語辞典のサイズをいうと大型・中型・小型に分類されるわけですが、
国語辞典のことを調べてみると、それ以前に持っていたサイズ感はブチ壊されます。
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国語辞典には大型、中型、小型というのがあります。単純な収録語数でいうと、大型が50万語、中型が20万語、小型が8万語くらいです。みなさんがよく知っている『広辞苑』は中型辞典にカテゴライズされています。
<サンキュータツオ 『国語辞典の遊び方』 原文は漢数字>
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この分類にあてはめると、“先に国語辞典と聞いて通常思い描く1000頁程度の物”として挙げた「旺文社国語辞典」は小型に分類されることになります。
国語辞典というと『広辞苑』が日本代表のようになっていて、テレビなどでは画面やフリップの右下に「広辞苑による」という意味の言葉がよく書いてあります。
『広辞苑』というのは、(日野)からすると充分に大型なわけですが、国語辞典の世界では中型に分類される物のようです。中型に分類される他の物は、『大辞林』や『大辞泉』が挙げられます。
さて、『旺文社国語辞典』が小型で、『広辞苑』のあの大きさで中型と言われると、それでは大型とはどのような物なのかというと『日本大国語辞典(小学館)』です。
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そういう重厚さが好きな方には全13巻プラス1巻という大型辞典の『日本国語大辞典』(小学館)がオススメです。手に取ると、知の深淵に触れたような気持ちになります。
<サンキュータツオ 『国語辞典の遊び方』 原文は漢数字>
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日本国語大辞典は1巻だけ置いてあった現物を書店で見たことがあります。確かにその1巻が広辞苑サイズでした。あれが14冊もあるとなると、一体その中に何が書かれているのか気になります。それこそ「知の深淵」がそこにあるのでしょう。
大型が想像以上に大型だったところで、一方の極である小型に戻ってみます。
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私は、小型辞典である『岩波国語辞典』を愛用しているのですが、これは、『広辞苑』とおなじ出版社なのにまったくコンセプトがちがっています。
<サンキュータツオ 『国語辞典の遊び方』>
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辞書の新旧は第何版というところをみていただければわかります。
『明鏡国語辞典』や、『新潮現代国語辞典』、あるいは集英社の『集英社国語辞典』が第二版(…)、つまりここ20年~30年くらいにできた新しめの国語辞典です。
一方、老舗でいうと『旺文社国語辞典』は第十版で、小学館の『新選国語辞典』が第九版、『新明解国語辞典』が第七版、『三省堂国語辞典』が第六版。『岩波国語辞典』も同様で、第七版の老舗です。
<サンキュータツオ 『国語辞典の遊び方』>
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繰り返しになりますが、小型といわれるとポケットサイズの物を想像してしまいますがそうではなく、「国語辞典」といわれておそらく多くの人が通常想像する物が分類上は小型になるようです。
そして、小型というのは1000頁くらいある国語辞典のボリュームゾーンというか、各出版社が最も鎬を削るサイズだと思います。
–次回につづく–