【0102】国語辞典の選び方 1 of 7
右手に持つのが剣であれば、左手にはホニャララを携えよう
(日野)は何かを始めるとき、カタチから入ります。
例えば楽器なら、好きな演者と同じモデルで、フェンダーのプレベ。
型番だけを頼りに同じようなモデルを買って帰って実際に弾いてみる。弾くとなると左手の形は好きな演者と同じ握り込みではなく4指4フレットのクラシックフォームだったりするから、ネックが太くて使いこなせない。無理して練習してたら左手首が腱鞘炎で断念。
例えば簿記なら、どっしりと大きめの電卓を買うところから。
ベースの頃とはちがって店頭で試し打つ。
試打しまくった結果シャープでもなくカシオでもなくキャノン。
廃版リスクを抱えつつ、職場用・家勉用・試験用・試験予備用と四台を10年以上使い込んできた。
カタチから入るのは電卓の機種の選択だけに留まらず、経理の人は右手にペンを持っているから電卓は空いている左手で叩く、と知って左手で電卓を使う練習が始まる。百ます計算しまくった。本題の簿記の勉強はまだ始まらない。
いまになって思えばそんな特殊な練習しなくてもそのあとやたらもういいってくらい電卓置くことになるんよなあ(遠い目)
こんな調子で法律を学ぶとなるとどうなるか。
デスクの左手にどの六法を置くか から始まるわけです。
これもやっぱり買う前には試し読み なのだけど、
電卓とちがうのは化粧箱(?)から出さないと中身が見られないことと、
出した物が大きい(厚いし重い)から、並べて見比べるということが容易でない。
平台付きの棚なら置いて並べられるのだけど、複数の六法が並んでいる棚って平台無いところが多かった。
結果、試し読みならぬ試し買いとなって、候補を全部買って見比べることになります。
候補は、出版社3社の判例搭載有り・無し、サイズ違いで計8冊。
並べてみると下表になります。
判例有 |
判例なし |
||
卓上 |
ハンディ |
||
岩波 |
判例セレクト六法 |
岩波セレクト六法 |
|
三省堂 |
模範六法 |
模範小六法 |
デイリー六法 |
有斐閣 |
判例六法professional |
判例六法 |
ポケット六法 |
ちがいをどうこう述べられるほど比較したわけでなく、パラパラとめくっったりして眺めているなかではいちばん好みは岩波セレクトで、次に判例六法が好みでした。
単純に見やすさ、フォントとか字幅とかそのくらいのことだったと思います。
「よし、これから毎年岩波セレクトを買い換えていこう」そう決意したのは、岩波がまさかの六法撤退を発表した年でした。
まあ、とはいえ、見た目(紙面の見よさという意味でなくビジュアル面という意味での見た目)重視のことで、「岩波でないと××事件が載ってない」というようなこだわりあるセレクトではなかったので、岩波セレクト買換えを決意した翌年は「判例六法professional」を使うことにしました。
判例六法professionalを選んだのは(見た目の)次点が判例六法だったし、カタチから入る身としてはあの威厳のある風貌にココロトキメクわけです。黒・グレーを主体にしたスタイリッシュな装丁に、2冊合計で9センチメートルの威圧感。
このような風格を備えた物がデスクの左手に鎮座ましませれば、オレカッコイイハズ。
そんなカタチから入った理由で「判例六法professional」を持ってみたものの、実際に使うには公法・私法の二分冊がわずらわしいことに気づきました。
使い込めば、民商法は黒い方、憲法刑法はうすグレーの方 と手探りで取れるのでしょうけど、
なにぶんカッコイイデショというカタチだけで使い込んでいないものですから、刑法を見ようとしてパッと手に取ったのが逆の黒い方だったときに取り直す二度手間が時間の無駄でイライラもするし精神衛生上も害がある、と思い知りました。
せめて、社会保険労務士六法のように、2分冊でも労働編と社保編で厚みがぜんぜんちがうように編集してくれれば、手グセで取れるようになるのになあ。
辞書を手許に持ってくるために目線を上げなければならない というのは結構ストレスです。
それに気づいて以来、(professionalでない)判例六法を使っています。
充分事足りるわけです。
普段は判例六法に登載の法律と関連事件の要旨で足り、
非常時には逐条解説を読み込むことになるからprofessionalでも足りない
そんな感じです。
まあ、そういうところが所詮(日野)はまだまだprofessionalではないということかもしれません。
–次回につづく–