【0104】国語辞典の選び方 3 of 7

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–前回までのあらすじ–

言葉を調べるとっかかりとして「××学辞典」のような専門的な物より国語辞典のほうが向いているということで国語辞典の選び方について、選ぶ前にまず分類ということで前回は大きさで分類してみました。

 

大きさと、もう一つの分類方法は出版社。出版社≒編集方針?

ここまではサイズの話でした。
もうひとつ国語辞典を分類する軸として出版社があります。

冒頭の六法の選択肢の中で3つの出版社を挙げましたが、国語辞典でも出版社が重要な選択肢になります。

出版社を分類キーに使う理由は、
編集者が同じであっても編集方針がちがえば全く内容が違う国語辞典が生まれ、
同じ物を出版しても売れないから出版社としては異なる編集方針を打ち出します。
こうして、出版社ごとに異なる編集方針の国語辞典が生まれます。

 

まず、編集方針というのはこういうことです。

編集方針は、かたく言ってしまえば、「哲学」ということになるのですが、(…)「この辞書はこういう意図で編んでみました!」という宣言(…)

サンキュータツオ 『国語辞典の遊び方』

編集方針によって生まれる違いをわかりやすく例えてくれている部分がこれです、

たとえば、近所のコンビニまで行くときに持っていくかばんと、旅行に行くときのかばん、仕事に持っていくときのかばん、あるいはデート用。それを、全部ひとつのかばんで済ませる人もいますが、TPOにあわせて、そのつど持っていくかばんを変える人もいます。実は国語辞典も〈何とか用〉っていう、用途にあわせた編集方針が組まれているんです。

もしかしたら車選びとも似ているかもしれません。その車が〈エコを目指した車〉なのか、〈軽量化を目指した車〉なのか。そして、その車の特徴は〈頑丈さ〉なのか、それとも荷物がいっぱい積める〈容量〉なのか。「車」というカテゴリーはおなじでも、日産のエルグランドとベンツのCクラスでは、まったくちがいます。(…)新聞であれば、朝日と産経ではおなじテーマの記事でも捉え方や書き方が全然ちがうということにお気づきの方も多いと思います。(…)

サンキュータツオ 『国語辞典の遊び方』

このようなちがいが生まれます。

出版社としては、いまあるものと同じでは埋もれるから、他とちがう編集方針を立てることになります。

 “

辞書の新旧は第何版というところをみていただければわかります。

『明鏡国語辞典』や、『新潮現代国語辞典』、あるいは集英社の『集英社国語辞典』が第二版(…)、つまりここ20年~30年くらいにできた新しめの国語辞典です。

一方、老舗でいうと『旺文社国語辞典』は第十版で、小学館の『新選国語辞典』が第九版、『新明解国語辞典』が第七版、『三省堂国語辞典』が第六版。『岩波国語辞典』も同様で、第七版の老舗です。(…)戦後は、これらの辞書がスタンダードだったのですが、後発の辞書は新しく参入するだけあって、それだけいままでの辞書にない特徴を出す必要があります。

サンキュータツオ 『国語辞典の遊び方』

この引用部分で挙げられているものでは『明鏡』が大修館書店、新潮社、集英社、旺文社、小学館。『三国』とともに『新明解』も三省堂で、最後に広辞苑の岩波書店と、ここまででも7つの出版社があります。

そのあと後発としていままでの辞書にない特徴を出す必要があるものとして挙げられる『集英社国語辞典』『明鏡国語辞典』『新潮現代国語辞典』のほかにもベネッセや角川など多くの出版社が各社の威信をかけて国語辞典を出版しています。

 

こうして、「編集者のちがい⇒編集方針のちがい⇒出版社のちがい」をキーとした分類ができることになりまず。

 

ここまで国語辞典について、サイズと出版社という分類方法で挙げてきました。
これを、ヨコ軸にサイズ、タテ軸に出版社で並べてみるとこうなります。

 

大型

中型

小型

小学館

日本大国語辞典

大辞泉

新選国語辞典

岩波書店

広辞苑

岩波国語辞典

三省堂

大辞林

新明鏡国語辞典

三省堂国語辞典 他

講談社

日本語大辞典

講談社国語辞典

旺文社

旺文社国語辞典

(以下、略)

     

小型辞典を出版している会社はこのほかにもたくさんありますが、旺文社だけを書いています。これは完全に(日野)の好みだけのことです。

中型辞典は4社が出版しています。『広辞苑』『大辞林』は日常的に使用しているのですが、小学館の『大辞泉』、講談社の『日本語大辞典』は、(日野)は中身を見たことがないので、この表に挙げていいのか迷っています(違う物だとわかったらすぐに削除します)。

 

こうして並べてみると、唯一の大型国語辞典を扱っているという一点だけで、小学館が群を抜いている印象です。(ちなみに(日野)は、小学館『日本国語大辞典』も中身を見たことがありません。たまたま書店である1巻(確か「タ」行が入っている巻)だけ置いてあったのを見たことがあるのですが、これが何巻もあることを想像すると外身だけで圧倒されて、手を出せませんでした。

 

この流れなら「国語辞典なら小学館の物を選んでおけばいい」となりますが、さてどうなることでしょうか。

 

–次回につづく–


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