【0110】資格試験ランキング 2 of 7
【分類A】国家試験・民間試験
難易度を測るための分類、ひとつめは、
試験の実施主体が国かそうでないか、ということです。
実施主体が国となると、法の裏付けのある資格になります。
いわゆる士業というのは、国家試験の合格者がなるものです。
たとえば、××士になるための試験の実施根拠は××士法なのです。その××士のために法律があるわけです。
一方で、実施主体が国でないとなればその主体は民間です。
民間となるといろいろです。
たとえば(日野)が勝手にホウタン士の資格を作ってもいいわけです。
ピンキリです。
なかにはNPO法人であることを前面に押し出すことで国家資格であるかのような記載をして資格取得を煽る、資格商法とでもいうような、詐欺的なモノもあるようです。
たとえば、「講座受けて試験受けるだけで××士の資格が」といいながら、
受講料払って受験料払って受験して何度受験しても合格点に届かない。しかも答案は返ってこない。とか
特に「○○大臣認定の資格」といううたい文句を掲げているような資格は危ないようです。
(○○大臣が認定しているのは法人設立のことだけなのに、それを当該法人の認定資格にまで拡大して騙っている、とか)
【分類B】資格・検定・学位<『ものごとの格付け辞典』>
ここまで【分類A】として国家資格か否かで書いてきました。
その続きで、【分類B】としますが、そもそもの話かもしれません。
資格取得に関する本や講座はたくさんありますが、そこで「資格」といわれているものには実際は「資格」、「検定」、「学位」という異なる性質のものが入り混じっているという話です。
まず、「資格」です。
資格試験は、行政法上の許可を受けるための試験で、弁護士や税理士などいわゆる「○○士」に就くための試験です。
性質としては就職試験・適性試験でもあるため、合格者数の上限(定員)があります。
定員があることから当然、相対試験になります。
次に「検定」です。
検定試験は、一定の能力があることを第三者が客観的に証明するための試験です。
たとえば「日商簿記検定」がそうです。
一定の能力を証明する試験であることから、絶対試験が多くなります。
最後に「学位」です。
学位は、大学を卒業した者、及び大学院の過程を修了した者に対して授与する称号
<松村明『大辞林(2版)』>をいいます。たとえば「MBA」がそうです。
この3つの分類のなかで重要なのは1つめの資格試験です。
なぜ重要かというと、その試験が行政上の許可を受けるための試験であるからです。
“
許可(Erlaubnis) 一般的な禁止(不作為義務)を特定の場合に解除し、適法に一定の行為をすることをえしめる行為を、学問上、許可という(但し実定法上は用例一定せず、許可、免許、認可等の語が混用されている)。営業の免許、火薬類製造の許可のごとし。許可によっては、何らの権利を設定するものではなく、単に不作為義務を解除するにとどまる。(略)
<田中二郎 『新版行政法 上巻』>
“
この引用では例として営業の免許、火薬類製造の許可が挙げられていますが、もっと身近な例では自動車の運転免許が行政上の許可にあたります。医師の免許もそうです。
本来誰でもできるはずのことを禁止にした上で一定の基準や条件をクリアした人だけはしてもいいよ、というのが許可です。
車の運転の例で考えると、本来誰でも車の運転はできるはずです。
しかし、他の人と比べて著しく操作がへたくそだったり、標識の読み方などのルールを知らない人が運転すると事故が起こりやすくなります。
このため、まずは車の運転を一律に禁止した上で、操作の試験と交通ルールの試験に合格した人は運転していいよ、とするのが行政上の許可です。
ポイントは、習熟すれば誰でもできることが許可がなければ禁止される、ということです。
法務担当を20年30年続けていれば法務に詳しくなります。友人が隣人関係で困ったことがあれば法的な解決を手伝うこともできそうです。
でも、弁護士でなければその手伝いはできません。
車の運転免許と同じです。運転技術がいくら高くても、免許がなければ公道を走らせることはできません。
できるかできないかに関係なく、許可がなければ禁止されます。
裏返せば、運転技術が低くても免許を受けている人は公道を走らせることができます。
実務ができなくても試験に受かりさえすればその業務に就くことができます。
–次回につづく–