【0197】熟読の技法(佐藤優『読書の技法』より) を読む 1 of 2
佐藤優『読書の技法』から「熟読の技法」を取り上げます。
表でいうと⑤言語の活用として扱います。
以下、“”内で書籍名のない引用箇所は<佐藤優 『読書の技法』>、下線があれば(日野)によります
「熟読の技法」として引用をはじめますが、熟読のためにまずは道具から説明してくれます。
“
熟読のために必要とされる道具は、シャーペン(鉛筆でも可)、消しゴムとノートである。シャーペンには2Bの軽く書いても濃い文字が残る芯を入れる。
右手にシャーペン(鉛筆でも可)を持って、重要な記述と思われる部分の欄外に線を引きながら読む。特に重要と思う部分についてはページの端を折る。ページを折るのに抵抗がある人はポストイットを貼ればよい。<p63>“
ちなみに(日野)は、
ペンは、2Bの鉛筆と青色ゲルインクのボールペンを使っています。
力むのでできるだけ楽に力を抜いて書ける物を求めて今はこれに落ち着いています。
ノートは、ここ数年は机上も持ち運びもA5ノート1冊のスタイルでしたが、見開きでもA4サイズが物足りないことが増えた上に移動中の電車内ではさっとは取り出せない大きさというどっちつかずが気に入らなくなり、ついこのあいだ机上用にコクヨのB5サイズ100枚と持ち運び用にA6サイズのコクヨのリングノートの組合わせに変えました。
文房具もそれだけでテーマひとつ起こせる力があるものなので、このくらいで先に薦めます。
次に熟読の手順です。
“
熟読法の要諦は、同じ本を3回読むことである。
基本書は、最低3回読む。第1回目は線を引きながらの通読、第2回目はノートに重要箇所の抜き書き、そして最後に再度通読する。<p63>
“
これだけ見ても何をすればよいか分かりません。
後に続く第1回目~第3回目までそれぞれをどのように行うかが重要です。
“
第1回目の通読を漫然と行ってはならない。実はいい加減な仮読みのような手法で一度本を読んでしまうと、その後、重要事項がきちんと頭に入らなくなってしまう。(…)他人の運転で連れていってもらうと途中の「あそこにたばこ屋があった」などということは、たとえ車窓から目に入ったとしても記憶に残らない。基本書については、自分で地図を持って目的地を探し当てるときの緊張感を持って読み進めるのである。
その際の重要な作業が、シャーペン(鉛筆)による印づけである。
本を読みながら、重要と思う部分の欄外に線を引き、わからない部分については「?」マーク を記す。重要な部分かどうか迷ったら、とりあえず線を引く。<p63-64>
“
ひとつめの下線“わからない部分については「?」マーク”というところが重要だと思います。
重要と思う箇所に線を引くわけですが、「わからないが重要(そう)な部分」をしっかりと意識しなければ結局「自分が重要と思う箇所=自分と同意見の箇所」にしか線を引かずに通り過ぎてしまいます。
ここまでが第一読。
第二読は、“熟読法の要諦は、同じ本を3回読むことである。基本書は、最低3回読む。第1回目は線を引きながらの通読、第2回目はノートに重要箇所の抜き書き、そして最後に再度通読する。<p63>“
に第2回目とある”ノートに重要箇所の抜き書き“です。
本に囲みを作り、その囲みの部分をノートに写します。
“
第一読が済んだら、今度は机に向かう作業だ。喫茶店、職場、自宅のどこでもいいが、少なくとも30分は継続して作業ができる環境を整える。あわせて、ノート、シャーペン、消しゴム、ボールペンを準備する(…)
第二読にかける期間は約10日間である。
まず、1回目に線を引いた部分で特に重要と思う部分をシャーペンで線を引いて囲む。(…)囲みはどんなに多くてもテキストの10分の1にとどめる。<p66-68>“
特に重要と思う部分を線を引いて囲むのですが、ここでは“多くても10分の1”
と制限されます。先の第一読では“重要な部分かどうか迷ったら、とりあえず線を引く”
とありましたが、対照的です。
“
さらに、この囲みの部分をノートに写す作業を行う。(…)
囲んだ部分のすべてを書き写すには及ばない。定義、数字、固有名詞などに言及がある部分と、重要とは思うのだが自分で意味がよくわからない部分を書き写すのだ。そして、欄外に「わからない」とか「〇〇の言説と対立」といったような書き込みをしておく。
読者自身の評価をノートの記すことが記憶を定着させ、理解を深めるコツである。要は写本を作ることが目的ではなく、理解するために抜き書きするという原点を忘れないことだ<p68>“
このノートに書き写す部分がひとつめの肝です。
定義、数字、固有名詞などに言及がある部分と、重要とは思うのだが自分で意味がよくわからない部分を書き写し、欄外に「わからない」とか「〇〇の言説と対立」などと自身の評価を記します。
さらりと書かれていますが、やろうとすると何を書くべきか、毎度試行錯誤です。
–次回につづく–