【0201】速読の技法(佐藤優『読書の技法』より) を読む 2 of 5

21-読解する技法

前回、超速読の目的を挙げました。

この目的2つ、
本の仕分け作業 と 本全体の中で当たりをつけること
を達成するために、超速読は次の手順で進めます。

以下、”“内で書籍名のない引用箇所は<佐藤優 『読書の技法』>、下線があれば(日野)によります

まず準備するのは、本とシャーペン(鉛筆でも可)とポストイットである。それから、最初のころは横に時計を置き、一冊を超速読するのに5分以上かけないと固く心に誓う。

<p77>

ここでも揃えるべき道具から説明されます。
大丈夫です。熟読の技法と使う道具は同じです。

異なるのは“5分以上かけない”という心構えで、そのための時計が新しく加わりました。

 

目的を定め、道具を揃えて、いよいよページを繰る段に入ります。

まず序文の最初の1ページと目次を読み、それ以外はひたすらページをめくる。(…)

そして、結論部のいちばん最後のページを読む。

<p77-78>

この((日野)注:それ以外のひらすらページをめくる)とき文字を読まない。とにかくページ全体を見るのだ。

(…)太字やゴシック体の文字だけ追っていけばよい。図表や資料はおのずと目に飛び込んでくる(…)

何か気になる語句や箇所が出てきたら、後でわかるようにシャーペンで大きく丸で囲むなど印をつけ(…)

これで本全体の印象をつかむと同時に、その本で自分が読むべき箇所の当たりをつける

<p78>

シンプルです。

序文と目次を読む、結論部を読む。

それ以外はひたすらページをくる。文字を読まない、目に飛び込んでくるものを眺める。

 

やってみると、

こうして一度すべてのページを開いてみることが重要だと理解しました。

ひとつは、“超速読”の目的のひとつめ、その本を今後どう扱うかの判断を下すために重要です。

 

もうひとつ重要なことは一度すべてのページを開いたことによって満足感が得られることです。

白取春彦『勉学術』p60にある“眺め読み”の効果と同じことと思います。

眺め読みとは、本をまともに読まずにしばらく眺めることである。

まず、面倒そうな本を買ってきたら、そのあたりに置いておく。机の上や本棚に鎮座させない。テーブルやソファの上にぽんと投げ出しておくのである。食卓の上に置いて、隣で麻婆豆腐やカレーを食べてもいい。
そういうふうにぞんざいに扱っていると、やがて部屋になじんでくるものだ。最初の違和感、居丈高な感じが薄れてくる。威厳が少し減ってくる。こういう場所に住むしかないかというあきらめが本から滲み出てくる。本が丸くなった感じである。

そうしたら、食後に足を投げ出した格好で、ちょっと開いてみる。(…)

そうこうするうちにこちらの恐怖もなくなるから、今度はソファに寝っ転がって頁をいたずらにめくる。数行を読み、また別の頁をめくってみる。(…)

次には、(…)

ここまですると、(…)

こんなことを数日間にわたって気が向いたときにやっていると、いつのまにか半分読んでしまっているということになる。

白取春彦 『勉学術』p60-63>

 

(日野)は本を読むことが好きなので、いやいや読むということはあまりないのですが、

仕事の必要で(興味がないのに)読むべき本というのは、たまにあって、たとえば社内の資格等級のためだけの営みとか、そういう物はなかなか手がつかなかったりします。

そういうときに、ここで挙げた白取“眺め読み”もとい佐藤“超速読”がいかに重要か実感します。

パラパラと、すべてのページを眺めただけで、「読んだ感じ」がします。

達成感があります。

眺めただけですが)すべて知っているという錯覚を覚えます。

錯覚ではありますがすべて知っていると)親近感もわきます。

親近感がわくと)また読んでみようかな、と思います。

 

これが、いやいや一文字一文字黙読していくとなると、

ほとんどは最後のページに辿り着く前に開かれることがなくなるでしょうし、

最後まで辿り着いたとしても、それは文字を目で追っただけのことで、得られるものは小さいことでしょう。

がんばって最後まで辿り着いた達成感があるかもしれませんが、文字を目で追うだけで得られる達成感であれば、眺め読みでも得られます。

得られるものがその程度であれば、かける時間は少ない方がよいように思います。

 

自分の興味とは異なる文書を読まなければならないときというのは、社会人にも研究者にもあるはずです。

そのときに、いやいや読むのか、興味を持って読むのかで、同じ文書から得られることは変わってくると思います。

変な共感を持って読むことは害だとして、いやいや読むとなると内容を理解するために必要以上の力を消費するはずで、

そうならないための、最初の一読をどうするか、どのように最初の一読を行うかは重要なことだと思います。

–次回につづく–

21-読解する技法


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