【0125】ホウタン的日本酒入門(前) 1 of 5

91-ホウタン的××入門96第一話

【序】(日野)と日本酒

あるとき、部長がわが社を去ることとなりました。

部長ともなると盛大な送別会が執り行われることとなります。

 

送別の贈り物をどうするか、その企画・制作の任を賜ることとなりました。

まあ、どこも同じでしょうから書きますと、部長ともなるとそれなりの年齢ですからそれなりにこだわりがあって、正面から攻めるとそれなりどころでない金額の物になります。

予算は部員が出すわけですから、それなりどころでないような金額は出せません。

そうすると変化球が必要になります。

部員全員から愛されていた人の送別であれば寄り合って手作りの品を制作するということもあるのですが、これもどこも同じでしょうから書きますと部長ともなると全員に愛されるということはないこともあります。

 

さて、どうするか。

当該部長の好みを思い出すと、日本酒が好き。

部長が日本酒好きだから地酒飲み放題の居酒屋で部の飲み会をしたことがあるくらい公認の事実です。

これを直球でやると、当該部長の出身地の純米大吟醸マグナムボトルを桐の箱に入れて、となるわけですが予算オーバーです。

 

考えに考えました。

すると、ある案が浮かびました。その案というのが、

部員全員の出身府県の地酒を取り寄せて詰め合わせる、というものです。

全員の出身府県といっても、会社が大阪ですから、大阪兵庫の人がほとんどであとは飛び地が4~5県。それで各地の地酒300ml瓶を6本詰め合わせで贈ることにしました。

 

このアイデアは部員の評判もよく、贈られた当該部長にも喜んでもらえたように思いますが、その送別会後の(日野)の許に相当量の日本酒が残ることとなりました。

各地の地酒を集めるために、各地に出向くわけにはいかず、
通販で買い求めることになるわけですが、
通販だと、送料の都合上、300ml瓶1本だけという商品はあまりありません。
商品1本500円のために送料が800円とかなるので。
だいたい3~5本の詰め合わせで1商品として販売されています。

こうしてお目当ての1本のために3~5本のセットを買うことになり、結果(日野)の手許に残ったのは300ml瓶が20本弱。

家でも日本酒飲む派なら何の問題もなくただただラッキーなわけですが、当時の(日野)はビール党です。

 

日本酒といえば、お酒を飲み始めたころは「甘ったるい、口がネチャネチャする、翌日しんどい、できれば飲みたくない」というイメージがありました。

その後何年もたって最近になると、「いいところの冷やしたやつは香りもよくておいしい、スコンスコン呑める、けど次の日しんどい頭痛い」「“純米大吟醸”というやつは同じ香りがする、どうやら酒造の所在地より造り方のちがいみたい」と考えていました。

 

そんなイメージで、家で日本酒を飲むということはなかったのですが、
生来(?)お酒を飲むのは好きなほうですから、家にあれば無理をしてでも飲みます。

まあ、無理をしてでも、というのは半分は次の日しんどいからという本音で、半分は言い訳のようなものです。

せっかく仮説を持ったのだから検証してみたいと思っていたところです。

 

改めて、その試したい仮説というのは「“純米大吟醸”というやつは同じ香りがする、どうやら酒造の所在地より造り方のちがいのようだ」です。

それで、手許にある20本弱から「純米酒」と書いてある瓶から飲み比べてみました。

 

亀萬(熊本)、秋鹿(大阪)、菊姫(石川)、…

 

さて、こうして飲み比べてみるとどうでしょう、ぜんぜん違います。同じ「純米酒」と書いているのに並べて飲み比べてみると香りも味わいもぜんぜん違うことがわかりました。

この段階で仮説は崩れたわけです。仮説が崩れるとそれは疑問に変わりました。

 

–次回につづく–

91-ホウタン的××入門96第一話


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