【0131】ホウタン的日本酒入門(後) 2 of 4

91-ホウタン的××入門

–前回までのあらすじ–

日本酒を飲んだとき、ラベルの表記から想像する香り・味わいと実際の感じ方が異なることがあります。日本酒の感じ方はいくつかの分類方法が考案されています。前回は挙げたひとつめの分類は、タテ軸に香りの強弱・ヨコ軸に味の濃軽をとった四象限で「薫酒」「爽酒」「醇酒」「熟酒」の4タイプに分けるものでした。

ふたつめの分類は、甘辛度と濃淡度による分類です。

(タテ軸が濃醇・淡麗、ヨコ軸が辛口・甘口)

「山間部の酒は濃醇で、海岸部の酒は淡麗」とは、昔からいわれる日本酒の地域差である。このような違いは、気候や地元の嗜好、地元食との相性などによって決まる。

<洋泉社MOOK『本気で知りたい!日本酒』p19>

この図は、引用元では「平成25年度の一般酒の各県甘辛度・濃淡度(平均値)」というタイトルがつけられ、上の表に各県名がプロットされています。

たとえば上から5番目・左から5番目の箱、言い換えるとタテ軸-0.8~-0.9・ヨコ軸-0.2~-0.1という青色の四角のなかには福岡、京都、岩手、北海道という4道府県がプロットされています。

 

初めてこの図を見たときは感動しましたが、福岡と北海道が同じ味わいだと言われると信じがたいものがありますし、京都の酒蔵のお酒でも端麗辛口もあれば濃醇甘口もあります。どうかすると同じ酒蔵でも端麗であったり濃醇であったりします。

 

ただ、わかりやすい。良くも悪くもイメージをつかむには適しているように思います。

 

最後に3つめ、「上原図」です。

日本酒度と酸度という二軸です。

<上原浩『純米酒を極める』p215>

うまく説明はできないのですが、この図が最も正しように思います。

まず、タテ軸ヨコ軸の取り方とラベル名を見てみると、

ふたつめの図はタテ軸が濃淡、ヨコ軸が辛甘の2軸で四象限を切った結果、象限毎の名称=ラベル名は「濃醇辛口」「濃醇甘口」「淡麗辛口」「淡麗甘口」というものです。

対して上原図は、タテ軸に酸度で高いと濃醇・低いと淡麗、ヨコ軸に日本酒度で高いと辛口・低いと甘口 となっています。

例えていえば、ふたつめの図は「貧しいから貧乏だ」と言っているのに対して上原図は「お金がないから貧乏だ」と言っています。

もうひとつ例えていえば、ふたつめの図は「禿げてるから禿げて見える」といっているのに対して上原図は「一本一本が細いから禿げて見える」と言っています。

抽象化すると、「結果だから結果」に対して上原図は「原因だから結果」という二軸の切り方になっています。

 

さらに、象限の区分が水平、交わりが直角ではないところに誠実さを感じます。

人間の官能はある数値を基準に上が濃・下が淡とは単純にならないので、デジタルに線引きできないはずです。線引きできないなにかがあって、その何かをタテ軸・ヨコ軸にとるときっとこの上原図になるように思います。

–次回につづく–


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