【0132】ホウタン的日本酒入門(後) 3 of 4

91-ホウタン的××入門

–前回までのあらすじ–

日本酒の感じ方はいくつもの分類方法がありますがこのブログでは3つ挙げた上で、前回に書いた理由から、下の上原図が最も正しいように思っています。

 

この図が載っている前後の文を(できれば原書・原文を読んでもらいたいと思いながら)以下に引用します。

唎き酒を終えたら、唎き手同士で意見を交換しつつ、裏ラベルなどに記載されている品質表示を読み直してみるのも勉強になる。(…)たとえば、日本酒度と酒の甘辛が比例していないことに気づくであろう。日本酒度は本来、醪末期での残存糖分とアルコール濃度の関係を示す酒造用語であり、(…)一つには、酒の甘さを呈する成分が糖分だけではないということだ。(…)日本酒度と酒の甘辛が比例しないもう一つの理由は酸度との関係にある。(…)酸味の少ない蜜柑は甘いというのと同じ理屈で、酸度の低い酒は糖分が少なくても(日本酒度がプラスでも)甘く感じられる。(…)余談になるが、こうした糖分と酸度の関係から酒の甘辛、濃淡を導き出す計算式があり、これに基づいて算出された甘辛度、濃淡度は、およそ官能と一致する。

上原浩『純米酒を極める』p215

 

いったんまとめます。

日本酒の味わいについて、前回までで3つの分類を挙げました。

その分類のタテ軸ヨコ軸を見直してみると、

  • 日本酒度と酸度
  • 甘辛と濃淡
  • 味の濃淡と香りの強弱

となっています。

分類の仕方からは、甘辛、濃淡と香りの強弱を意識して味わうとよさそうです。

 

【転2】味わい方2.テイスティングの順序。立ち香→テクスチャ→味わい→フレーバ→余韻

日本酒の味わい方の目安として、3つの四象限を挙げてきました。

それらはいずれも、タテ軸ヨコ軸を何に置くかのちがいはあるにしても、数値化してプロットする、理系的なアプローチです。

どう感じるかという定性的・主観的な問いに対して、このように数値化してプロットするアプローチは解りやすいです。

3つ挙げた中で特に2つめにあげた次の図<洋泉社MOOK『本気で知りたい!日本酒』p19>は、

ヨコ軸甘辛度合いが0を合間に1進むと甘い・1戻ると辛いというデジタルな考え方です。

そのデジタル加減を官能に近づけたのが3つめの図<上原浩『純米酒を極める』p215>だと思います。

タテ軸ヨコ軸と水平垂直にならない斜めに交わる分岐線がそれを現しています。

2つめ3つめの四象限に比べると、1つめ図<木村克己『日本酒の教科書』p75-77>

の日本酒度と酸度からのアプローチがいちばん官能に近いように思います。

この木村の4タイプになると、ヨコ軸が味の濃淡、タテ軸が香りの強弱というように、どちらの軸もプロットするには官能に依ることになります。

こうなってくると(ここまで3つの分類を挙げましたが結局)結局はどう感じるかが大切であって、上記のような区分は目安や参考でしかない、ということがわかってきます。

たとえば、
あるとき飲んで好きだと感じたお酒が濃醇旨口に分類される物だとして、
では、濃醇旨口に分類されるお酒を別のときに飲んで好きだと感じるか、というと
好きだと感じるときもあれば、そうでないときもある はずです。

–次回につづく–


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