【0129】ホウタン的日本酒入門(前) 5 of 5

91-ホウタン的××入門97最終話

–前回までのあらすじ–

手許にある日本酒20数本を飲み比べて検証。ラベルには「大吟醸」「純米吟醸」「本醸造」「生貯蔵」「生酛」「生一本」…などと書いてある、純米・吟醸・本醸造は特定名称と言われるものだと判明、残りの「生貯蔵」「生酛」「生一本」とはなにか。

生貯蔵とは

もう一度工程の図を挙げておきます。

前回に※1に関する話「生酛」を挙げました。

次に生貯蔵です。
これは先の日本酒の造りの工程につけた※3、※4の箇所が分岐点となります。
この※3、※4で、それぞれある作業をするか否かで分岐して、名称が変わります。

その作業というのは火入れです。

「生酒」とは、もろみを搾ってから出荷するまで、一度も火入れ(加熱殺菌)を行っていない日本酒のことで(・・・)殺菌をしていない酒なので、「要冷蔵」など保存もしくは飲用上の注意事項の記載を義務づけている。(・・・)生酒としばしば混同される「生貯蔵酒」とは、上槽してから火入れをせずに生酒のまま低温貯蔵し、瓶詰する時に一度だけ加熱殺菌を行った日本酒のことである。反対に、上槽後、貯蔵する前に一度火入れを行い、瓶詰など出荷時には加熱しない日本酒は「生詰酒」と呼ばれる。

<小泉武夫監修『日本酒百味百題』p172>

上表の※3・※4ともに火入れをしなければ「生酒」

※3で火入れせず※4で火入れすれば「生貯蔵酒」

※3で火入れして※4で火入れしなければ「生詰め酒」となります。

 

生一本とは

最後に生一本。

生一本は生酛・生酒とは違って、造りの‘過程‘とは別の話。過程ではなく場所の話です。

なお、昔から灘の酒などで生一本という言葉が使われてきたが、同基準((日野)注:国税庁告示「清酒の製法品質表示基準」)では、「生一本」とは「単一の製造場のみで醸造した純米酒」と規定し、使用を制限している。

<小泉武夫監修『日本酒百味百題』p165>

ウイスキーのシングルモルトと同じこと のようです。

元々は桶買いをするようなナショナルブランドだけが使う言葉のはずで

「灘の生一本」なんていうのは、灘を代表する大手が出荷量のほとんどが生一本じゃないからこそ使う言葉ですね。

 

同じ「生」という文字が含まれて、でも

こうして並べてみると、生酛、生貯蔵、生一本という言葉は、同じ「生」という文字を使いながら、まったく意味の異なる言葉だとわかりました。

生酛も生一本も常温保管でOKやけど、生・生貯蔵・生詰めは要冷蔵となることも、その言葉の意味がわかれば自明の理です。

 

これを知ることで、日本酒だからとなにもかも無闇に冷蔵庫に入れなければということがなくなるように思います。

 

 

(前)はここまでにして、(後)として(前)の先にある「味わい」の話をしておきたいと思います。

–いったん完–


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