【0152】読解力の向上に資すること、その手がかり  1 of 8

21-読解する技法76資格・試験, 96第一話

【序】「読み書きそろばん」時代によって変わるんだってねえ。

「読み書きそろばん」という慣用表現があります。
文字通りであれば、「文字の読み書きと四則演算ができる」ということでしょうか。
文字の読み書きと四則演算というと、小学校の1~2年生で教わるくらいの内容でしょうか。

 

「読み書きそろばん」の類似の表現で、「読み書き算用は世渡りの三芸」とありまして、これは

“読むこと、書くこと、計算することの三つは、世の中で生活していくうえでぜひとも必要なものであるということ。<三省堂 『新明解故事ことわざ辞典』>”

のようです。出典はわかりませんが、

 

“江戸時代の庶民の教育機関”である「寺子屋」では“町人の子供に読み・書き・そろばんなどを教えた”とありますから、江戸時代には定着していた考えではないかと推測します。(この一文における“”内はいずれも<松村明他『旺文社国語辞典』>)

「読み書きそろばん“文字を読んだり書いたり計算する日常の技術/技能”」が“生活していくうえでぜひとも必要なものである”ということに異論はないと思います。

 

ところで、(日野)が資格取得に苦しんでいた2000年代後半のことを思い返してみると、英語と会計が読み書きそろばんと言われていました。

たとえば、次のように書かれた本が、今でも売られています。

ITは現代の読み書きそろばん

ITは、蒸気機関以来の発明といわれ、じわじわと私たちのライフスタイルを変えています。(…)いずれにせよ、ITを知らないと、読み書きできない時代になってきているのです。昔は読み書きそろばんといったものですが、それが全部ITに置き換わってきているのです。

どんなにコミュニケーション能力が優れていようが、どんなにきれいな文章を書けようが、ITでそれを再現できないと、生産性が高まらない時代です。

とにかく、英語と会計とITは、年収を上げていくための三大必須基礎スキルです。どんな仕事をしていようが、足腰として必要になります。

勝間和代 『無理なく続けられる年収10倍アップ勉強法』p179 下線は(日野)による>

上記引用の下線部分のとおり、“ITは現代の読み書きそろばん”、“英語と会計とITは、年収を上げていくための三大必須基礎スキル”と書かれています。

 

別の例では、たとえば、当時の雑誌の特集を見ると、次のように書かれています。

“会計・IT・英語「これだけは勉強すべき」リスト

30~40代のミドル層がマネジメント層にキャリアアップしていくにはいかなるスキルが必要なのか。また、企業はどんな人物像を求めているのか。転ばぬ先の杖となり、競争を勝ち抜く武器ともなる「重要科目」は、やはりファイナンス、IT、英会話だろう。

『プレジデント 2008.1.14号』p72 下線は(日野)による>

こちらは“ファイナンス、IT、英会話”の3つを挙げています。

“ファイナンス、IT、英会話”“英語と会計とIT”大差ないかと思います。

 

当時(日野)は、やりたいことがあったものの、それをするための資格試験に合格できないものですから大層迷走していました。

 

具体例でいうと、税理士資格が必要なのだけど税理士の資格試験に合格できないとして、
行政書士試験に鞍替えしようか、法律知識の証明だけならビジ法でもいいな。いっそ司法書士はどうだろう、難関なのは税理士も司法書士もどちらも同じなのだからいっそのこと突き抜けて、
という感じで、

いま思い返すと無駄そのものです。

そんなことを考えている時間があるならその時間を使って、本命の試験の勉強をしたらよいのに、と今となっては思いますが、当時は真剣に迷走しています。(上記のような雑誌(プレジデント2008.1.14号の表紙は「自分のキャリア 50% 上方修正計画」)を持っていることがその証左、

当時の状況を考えてみると、本命の試験はその当時合格水準の8割くらいまで出来上がっていて、伸び悩みのときでした。

合格水準の8割までいくのは比較的たやすいのですが、そこからのあと2割を詰めるところに技能習得の困難があります。

あと2割が遠く、どうすればその差が縮まるのかも判らなくなっていきます。過去問、散々やっていて、過去問は解けるが試験本番では解けない。

このあたりは、法律系の国家資格に共通の悩みではないでしょうか。

 

そのようなときに、より上位資格に移って、合格水準の8割まで持っていくというのは、ひとつ逃げ口実になります。あらゆる試験において合格水準の8割まで持っていくことは容易でそこからあと2割を詰めることが難しいのです。

どういう意味かというと、

たとえば、本命資格A2合格基準が100だとして、逃げ先の上位資格A1の合格基準が130だとします。

本命資格A2の勉強をひととおり終わらせて80まで持っていきましたが、A2資格試験の合格には当然足りません、不合格です。

ここで伸び悩みに遭います。
あと20伸ばすために、それまで80まで持っていくための所要時間と同じかその倍の時間をかけても届きません。

ここで迷走がはじまり(迷走の結果A2で残り20を伸ばすことから逃げて)上位資格A1の勉強を始めます。ひととおり上位資格A1の勉強を追えるとやはり合格水準の8割くらいまですぐに達することができます。

この例では、もとの本命資格A2の合格基準100に対して、上位資格A1の合格基準は130と設定しました。130の8割というと104です。104となると、元々の本命資格A2の合格基準100を超えています。
所期の目標達成です。

現実には、それぞれの試験で求められるものが異なるので、上位資格の試験で8割だから本命資格の試験は10割超、ということにはなりません。

でも、そうでも思わないと、生きておれないような、そういう追い込まれた心境でありました。

 

そのような状況で苦し紛れのような、一発逆転に賭けるように、どんな資格をとればよいものかと、必死になってありもしない上位資格A1をさがしていました。

そんな迷走していたから、この当時の一時的な流行りのような「英語・会計・IT」に感化されてUSCPAなんて取ろうかと思ったりしていました。

–次回につづく–


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