【0231】経営学の古典を読む 4 of 4

21-読解する技法

前回につづいて、

(日野)を含む中堅どころ、一般的には係長など役職がつきはじめる頃から課長くらいまでが知っておくべきもの

その役職であれば知ってないと仕事に支障があるものに加えて上位の役職者が当然に知っているものを含み、一定以上の役職者の知識レベルが一般化されているであろう書

を挙げていきます。

ヒト・モノ・カネの「カネ」会計・財務①

K.G.パレプ『企業分析入門』

財務諸表分析の本です。

経営指標について書かれた本はたくさんありますが、それらの本を読んだだけではわかったようなわからんようなことになります。
この本もその点では変わりはなく、これだけで習得するというよりは、理解した上での振返り・まとめの本、という感じです。

この本の前にまずは日商簿記3級をしっかり理解しましょう。日商簿記3級の試験は簡単ですが、内容は奥深いものです。
会計事務所の方は「2級はいらんから3級は常に100点とれるくらい理解しろ」とよくおっしゃっていました。(工業簿記つかうクライアントがいなかったからかもしれませんが

 

ヒト・モノ・カネの「カネ」会計・財務②

マッキンゼー・アンド・カンパニー他『企業価値評価』

バリュエーションの本です。
企業価値とは何で、どのように算定するかの本です。

上巻・下巻の2冊で900ページ超、すべてを読み込み血肉とするのは困難ですが、M&Aに関わるときには最低限の言葉や考え方は理解しておく必要があります。
実際に価値算定は会計士等のアドバイザーに依頼するしかないのですが、アドバイザーの言うことを理解・評価できるだけの知識がないと、いいようにやられます。(法律を知らないと弁護士の言うことが理解できないのと同じですね

 

ヒト・モノ・カネの「カネ」会計・財務③

リチャード・ブリーリー他『コーポレート・ファイナンス』

ファイナンス、金融工学の世界です。
一時期ほどの重要性は無くなったように感じます。(リーマンショック以前にはすべてをコントロールできそうな万能感を纏った言葉でしたが、

こちらも上巻・下巻の2冊で、②よりさらに大きな約1300ページとなっています。
すべて読み込む時間があれば、TAC社や大原社の日商簿記1級講座を受講して、演習問題を何度も何度もこなしながら、商業簿記の神髄や意思決定会計の基礎を頭と手に叩き込むほうが有益だと思います。(この意味で有益なのは税理士試験の簿記論ではなく日商簿記1級です。
そのうえで実務上の必要に迫られて辞書的に参照しながら使う物であって、これら①②③の本だけで理解するのは不可能では、ないかと、考えてます。

 

経営学の総合問題「(競争)戦略」は2冊

①M.E.ポーター『競争の戦略』

②M.E.ポーター『競争優位の戦略』

ファイブフォース、3つの基本戦略(コストリーダーシップ、差別化、集中)、製品ライフサイクル(導入期、成長期、成熟期、衰退期)など、経営学と聞くと最初に思い浮かぶようなフレームワークがいくつも出てきます。
1980年が初版のようですが、2020年のいまでも、戦略を理屈づけようとするときにはまずはここから始まっているものが多いように思います。

経営学の入り口としてドラッカー『現代の経営』が挙がっていましたが、このポーターの2冊も同じように、読んでいて興奮を感じます。
どちらもとっつきやすく面白いのですがこのふたつだけでは薄っぺらいものになるように思います。
入口にドラッカー、出口にポーター、中身はヒト・モノ・カネの6冊があって、その土台にバーバラ・ミント、というふうに、中身と土台がないと、
提案に対してちょっと突っ込まれて返す言葉が無くなるような。
経営者との共通言語なだけに、面白いところ(ドラッカーとポーター)だけをかじってるようでは逆効果かもしれません。

 

–次回につづく–

21-読解する技法


このページの先頭へ