【0301】複式簿記(利益の比較衡量/権利と義務のバランス 4 of 7)

14-連載-法務三大フレームワーク

権利と義務のバランス 具体例3 複式簿記

契約上の権利を債権といい、契約上の義務を債務といいます。
債権と債務のバランスということを学んだのは簿記です。
簿記を習得した結果、バランスしないと気持ち悪い感覚が生まれたのかもしれません。

たとえば、かねて欲しいと思っていた備品100,000円を、
たまたま見つけたんだけど手持ち40,000円しか無かった というとき。

仕訳を切ると、
(借方)備品100,000/(貸方)現金40,000
借方貸方の差額は貸方60,000なので、60,000を何かで埋め合わせしないと、
借方貸方でバランスしません。

仕訳としては、
(貸方)未払金60,000 が入ります。

実世界では「後日支払うから」と説得して
「10万円の内4万円受け取ったから残りの6万円を支払ってね」
という請求書を出してもらっていることでしょう。

この請求書部分が買掛金・未払金だという感覚が、
実務をするまではなかなか理解が及ばないところです。

別の事例を挙げてみます。
(1)A社株式を800千円で買いました。それから2年後、
(2)A社株式を売りました、A社は業績好調で1000千円で売れました。

この場合、仕訳は、
(1)A社株式800/現金800
(2)現金1000/A社株式800
となります。

(1)は左右ともに800でバランスしていますが、(2)は左右に差額があります
右が200足りません。この足りない200を補うために、売却益という科目を左に指し込んで左右をバランスさせます。
(2)現金1000/A社株式800+株式売却益200)

こちらは、売って手にしたお金1000と、A社株式の取得価格800の差額を埋めるために、
技術的に生まれてきたのが「株式売却益」だと思います。
左と右でバランスしないときに、新しい科目を生み出してでも埋めようとします。

日商簿記・全商簿記の試験勉強で問題を解き続けた結果、
徐々にこのような工程が無意識に行われるようになります。

これは左・これは右、借方貸方の差額はいくらか、
その差額の性質は何で勘定科目にすると何か と。

このような試験勉強をしながら並行して仕事でも経理をしていると、
試験勉強と現実の業務がつながってきて、いろいろの事実を仕訳の形で考え始めます。

一般化すると、

  • Aしてもらうことになりました。
  • Aはいくらでしょう(左におきます)、
  • その見返りとして求められたのはBとして、Bはいくらでしょう(右におきます)。

右左の差、差額はどちらにどれだけあるか、その差額を埋めるものは何でしょうか
そのようなことを自然と考えるようになります。
その思考が日常に入り込んできます。

–次回につづく–


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