【0047】指令、役員全員の住民票を集めよ 7 of 8

10-ビジネス法務18突発関係, 77一般スキル, 78一般知識

~あらすじ~
就任登記や許認可申請のために役員の住民票の写しが必要になるとき、役員本人におねがいするより、自分でできたら早いのに。それはいわゆる委任です、疑う余地のない委任状を用意すればできます。しかも郵送で請求できます。
住民票も戸籍謄本も、弁護士などの特別な資格がなくても、他人でも請求できるんです。
しかも郵送でできるんです。これは本人でもできるので、知っていると便利です。

テクニックの賞味期限

【0041】からここまで長々と書いてきました。
前回の終わりに書いた同僚さんとのやり取りで、知っていると本当に便利なテクニックだなあと実感しました。
一方で、「マイナンバー普及するとこれは過去のテクニックになるのかな」と思っています。

それはマイナンバー制度の目的として、次のように語られているからです。


政府はマイナンバー制度の導入において、以下の3つの目的を掲げている。
①国民の利便性の向上:添付書類の削減など、行政手続きが簡素化され、国民の負担が軽減されます。行政機関が持っている自分の情報を確認したり、行政機関から様々なサービスのお知らせを受け取ったりできます。
②公平・公正な社会の実現:所得や他の行政サービスの受給状況を把握しやすくなるため、負担を不当に免れることや給付を不正に受けることを防止するとともに、本当に困っている方にきめ細やかな支援を行うことができます。
③行政事務の効率化:行政機関や地方公共団体などで、様々な情報の照合、転記、入力などに要している時間や労力が大幅に削減されます。複数の業務の間での連携が進み、作業の重複などの無駄が削減されます。
特に、今後マイナンバー制度が普及していくためには、国民の利便性向上が重要であり、国民が具体的な形でメリットを実感できるようなサービスを創出していくことが重要になってくる。

<日本総合研究所 編 『あなたの会社は大丈夫? マイナンバー対応のすべて』>

半分は、制度導入を国民に納得させるためのタテマエだと理解しています。
タテマエ半分とはいえ、これは行政が作成した資料(引用元に『出典:内閣官房「平成27年5月版 マイナンバー概要資料」』と記載有り)を基にして書かれたもので、個人や一企業が発した文書とは重みが違います。

このなかで上記の①②③をみると、(②は今回の話には関係しないですが、

①や③によってどこででも請求・受取りができるようになることが考えられます。
どこでも受け取れるようになれば、役員に「住民票ください」と言えば、その役員も自分で手続きすることが増えると思います。
特に③については、この考え方が数学的な意味での限界まで進めば、あらゆる場面で住民票の写しを要求されることがなくなります。
そうなると、そもそも、役員に対して「住民票ください」という機会もほぼほぼゼロになります。
そうなれば今回のテクニックは過去のものになりますね。

このように、知っていることの有用性であるとか、自分自身の価値であるとか、そういうものが低下するのは残念ですが、そもそも不必要な手続きならそれは無くしたらよいと思っています。
本来いらないことを俺ができることだから残しておいてくれ、とは思いません。
どうせなら世に必要とされるスキルを身につけたいものです。必要となれないものは不要ではないでしょうか。

ただまあ、目的に挙げられているとはいえ達成の期限も記載なく、住民票等の代理請求・郵送請求はこの先20年くらいは使えるテクニックではないかと思っています。

次回で最後。


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