【0098】「法務担当者はスタッフであるから」というときのスタッフ(後) 1 of 3
このブログにおいて、「スタッフとしての法務担当者」とか「法務担当者はスタッフであるから~」と言うときのスタッフの意味を定義しようというのがテーマで、今回からはその後編です。
前編では、【0092】から5回にわたって経営学・経営組織のテキストから引いてきました。
「テキスト」といわれる物をいろいろと見ていますが、学部生向けのテキストと資格試験向けのテキストでは性格がまったく違うということを書いてきました。
それはどちらがよりよいか、ということではなく補い合う性質の物だという話でした。
その前編での内容は前回【0097】にマトメました。
ここで後編となる今回からは視点を変えて、辞書を見てみます。
目的の言葉の、対義語・対応する言葉・対立概念から、その言葉の真意に迫る
経営学の分野で辞書を見るとなると、まず「経営学」+「辞典」という名称の書籍からでしょうか。
『基本経営学用語辞典』を見てみましょう。
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生産や販売といった企業本来の業務が能率的かつ有効に遂行されるよう、ライン部門の執行活動を援助したり、管理者・経営者の計画活動・統制活動の支援などを遂行する部門。人事部・経理部・運搬部・企画室・統制室などがそれである。業務部門以外をスタッフ部門とするこの分類は、実際の組織図で多くみられる。だがこれには批判もある。作業職能への援助と管理職能への支援の同一視、助言・職能的統制など職能の相違からくる権限異質性の無視といった批判である。本来的にはスタッフの任務は管理の重荷を軽減し管理の有効性を高めることにあり、その権限は管理者・経営者への助言である。しかし職能分化に応じて、職能的権限も必要になる。
<吉田和夫 他 『基本経営学用語辞典』 下線は(日野)による>
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『××学辞典』と銘打った専門的な物を見てみると、このように想像以上に回りくどく書かれていることが多いです。
単純に文字数で比べると、学部生向けのテキストよりは短いです。
一方で、学部生向けのテキストより短い中で、できるだけより多くの論点に触れようとしてくれます。
例えば、引用のうち下線部分のようにポエティック(?)に強調する表現も使いながら、問題提起がされます。
そのように問題提起されながら、その伏線を拾えるほどの文量はありません。
伏線が改修されないのは通常はストレスを感じるところですが、おそらくこれが専門家にとっては使い勝手がよいのだと思います。
どういうことかというと、
専門家としては質問だけでも書いてくれれば、答えは知っているか・考えれば答えを出せるので、文字数に制限がある中であえて答えまで書かなくてよいのです。
専門的な「××学辞典」という物は、そういう人に向けた物でないかと思っています。
そういう人というのはその道の専門家か、専門家になろうとしている人のことです。
「××学辞典」というのは、素人が見ても「Q&Q&Q&でどこにAあんねん!」となります。
あちらこちらに話が飛んで(いるようにしか思えない)、読んでいるうちに最後の方になって「あれ、おれ、なにを調べてたんだっけ?」となります。
このように専門的な辞書は素人には使いこなせない物になっています。
いつかきっと使いこなせる日を夢見て背伸びして「××学辞典」を見ることは大事です。
ということは、ほとんどの分野で調べものをするときは、そういう専門的な辞書をチラ見しながらそれは横に置いておいて、
実際に言葉を調べるとっかかりとしては、国語辞典がよいです。
対象が専門的な用語であったとしても、まずは国語辞典で調べてみることをお勧めします。
–次回につづく–