【0298】利益の比較衡量 /権利と義務のバランス 1 of 7
過去に法務三大フレームワークの第一弾として法的三段論法 を挙げていて、
それから数年経っていま(日野)が考える残りふたつが
「5W1H /八何の原則」と、
「利益の比較衡量 /権利と義務のバランス」です。
【0290】~前回【0297】まで「5W1H /八何の原則」について書いてきました。
さいごとなる「利益の比較衡量 /権利と義務のバランス」について、書いていきます。
利益の比較衡量とは
法律用語辞典を開いてみます。
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利益衡量論 法的判断の際に、相対立する法的利益・法的価値の重要性を比較考慮して結論を導く相対主義的なアプローチを一般的に利益衡量論という。(後略)
<金子宏他 『有斐閣 法律学小辞典 第4版補訂版』>
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すこし難しい、というか、抽象的だから難しく感じるのでしょうか。
続いて、別の辞典ではこうです。
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利益衡量 裁判などの法的判断を行うに際し、当事者間の相対立する利益を比較考慮して、より大きな利益をもたらすと考えられる結論を出すこと。
<法令用語研究会編 『有斐閣 法律用語辞典 第3版』>
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ふたつを並べて見ると、「裁判などの法的判断に際し」「相対立する利益を比較考慮」というところが、ひとつめの『法律学小辞典』と重なっていて、ここが重要かと思います。
さらにもう1冊、開いてみました。
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利益衡量論 利益衡量ないし価値判断を中核とする法解釈方法論。社会に存在する諸々の価値や利益のうち、どのような価値や利益がどのように実現・保護されるべきか、どのような価値や利益がそれに値しないかを判断して結論を導き出すことが、法解釈の際の基礎とされる。(後略)
<佐藤幸治他 『三省堂 コンサイス法律学用語辞典』>
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「裁判などの法的判断に際し」「相対立する利益を比較考慮」と言葉を換えて先の2冊と同じ意味かと思います。
「裁判などの法的判断に際し」「相対立する利益を比較考慮」
このふたつのキーワードを見て、かつて書いた記憶がよみがえり、さかのぼって見ると
【0065】フレームワークとしての法的三段論法(前) 5 of 7のなかば
「論理順と思考順」ということで価値判断の話を数回にわたって書いています。
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三段論法の論理の順序:規範定立→あてはめ→結論
具体的な判断時の思考の順序:事実から価値判断し結論を出したうえで、
規範定立→あてはめというふうに、論理順と思考順は異なる
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ということをいろいろの書籍から引用し補強しながら書いています。
–次回につづく–