【0234】法律学の基本書を読む 2 of 10

21-読解する技法

社会の情勢に合わせて変わっていく法律に対して、
もはや更新されることのない古典に依って実務をおこなうのは無理があります。

そこで我々法務担当者は、古典ではなく、基本書を使います。

ということを前回に書きました。そのような理由で、
【0228】【0231】までの「経営学の古典を読む(全4回)」の続きが
「法律学の基本書を読む」と、“古典を読む”ではなく“基本書を読む”となっています。

 

それではいよいよ基本書を紹介しています。
と、いきたいのですが、
基本書という言葉、聞いたことがあるでしょうか?

少なくとも、10年前の(日野)にとっては聞いたことのなかった言葉です。

 

基本書とはなんなのか。そこから始めてみます。

まずはいつもどおり、辞書を開いてみます。
きほんしょ・・・きほんしょ・・・きほんしょ・・・

ありません。

これまで取り上げてきた「古典」という言葉は、辞書にもあったのですが、
「基本書」という言葉は載っていません。

国語辞典では旺文社にも三省堂にもありません。大辞林もありません。

法律学の用語なのかと、有斐閣法律用語辞典とコンサイス法律用語辞典を開きますが、
ありません。

どれも、基本、基本給、基本的人権、という単語がせいぜいです。

 

10年前の(日野)が知らなくても無理はなく、決して一般的な単語ではないようです。

 

蔵書を探し探して、(日野)が持っている本ではおそらく唯一だと思いますが、
『入門 法科大学院』という本に基本書についての記載があるので引用します。

初学者の人には「基本書」という言葉の意味自体を知らない人もいるでしょう。
基本書とは、研究者等による法律を解説した教科書や研究書のことです。
法律を勉強するときに、条文そのものを第1条から読む人は、まずいません。多くの人は、研究者が書いた基本書を使って勉強するのです。(…)
基本書にはいくつかタイプがあります。研究者によるいわゆる研究書や、教育的配慮にあふれた教科書的なもの、条文ごとに詳しく内容を述べているものなどです。(条文ごとに法律を解説した基本書は、コンメンタール〔注釈書〕と呼ばれています。)

愛知県弁護士会 法科大学院委員会 編『入門 法科大学院――実務法曹・学修ガイド』p31-32 下線は(日野)による>

上記引用の第一文を見ると、やはり一般的な言葉ではないです。

そこで第二文“基本書とは、”に期待が高まりますが、“研究者等による法律を解説した教科書や研究所のこと”となっており、さて、困ったことになります。

(…)で省略した次の文では、いくつかのタイプがあるとしています。“いわゆる研究書”“教科書的なもの”“コンメンタール”ふむふむ、と再び期待が高まったところでこの節「(ウ)スキル③基本書で学ぶ」は終了して次の話題に進んでしまいます。

 

困りました。

 

基本書を定義してから各法の基本書を紹介する順序を想定していましたが、

この段階で基本書とは何かを定義するのはむずかしいので、
先に基本書とされている具体的な書籍を挙げながら、
その具体例の特徴をまとめることで帰納的論法によって、
基本書とは何かを結論づけたいと思います。

–次回につづく–

21-読解する技法


このページの先頭へ