【0216】バーバラ・ミント『考える技術・書く技術』 を読む 2 of 2
前回【0215】バーバラ・ミント『考える技術・書く技術』 を読む 1 of 2にバーバラ・ミント「考える技術・書く技術」から、ピラミッドストラクチャとその内部における縦の関係を見てきました。
続いて横の関係です。
もう一度、ピラミッドストラクチャの図を挙げておきます。
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<バーバラ・ミント 『考える技術・書く技術』p14>
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ここで横の関係といっているのは、たとえばキーラインと書かれている階層で横に並んでいる3つの箱の関係のことです。
ここまで縦の関係というのは、ピラミッドストラクチャのいちばん上にある箱にあるメッセージを結論とする根拠がひとつ下の階層に置かれている関係を言っていました。
一方、横の関係は、その結論の理由づけの関係になります。
この関係が冒頭で挙げた「帰納法」と「演繹法」の話になります。
演繹法と帰納法について、同書では次のように書かれています。
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1段下のラインで何を言うか決めるためには、それらのポイントが上位のポイントの疑問に対して単に答えるだけでなく、論理的に答えるということが必要になってきます。すなわち、帰納的論理でいくか、演繹的論理でいくか、どちらかの方法ではっきりポイントの表現を行わなければなりません。グループ化に使える論理はこの2つの種類しかないのです。
これを1段上のレベルに押し上げるには、~というような推論になります。
<バーバラ・ミント 『考える技術・書く技術』p24>
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まず演繹法は、
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演繹的グループ化では、論理を連続的なステップで展開します。最初に普遍的な状況を述べ、2番目の考えで先に述べたことの主部か述部について具体的に述べ、そして3番目に、これら2つの記述から何が導かれるかについて述べます。
<バーバラ・ミント 『考える技術・書く技術』p24>
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文字だと分かりにくいですが、下の図の上半分”演繹的理由づけ”
の箇所を見てみましょう。
- 鳥は空を飛ぶ
- 私は鳥だ
- それゆえに、私は空を飛ぶ
このブログでも過去に扱ったことのある、三段論法ですね。
(過去:【0062】フレームワークとしての法的三段論法(前) 2 of 7 のあたりです)
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<バーバラ・ミント 『考える技術・書く技術』p76>
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一方、帰納法は、さきほどの図の下半分”帰納的理由づけ”
のところです。
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帰納的グループ化では、メッセージを同レベルの内容を表す事柄でくくります。この論法では次のようになります。
- フランス軍の戦車がポーランド国境に集まっている
- ドイツ軍の戦車がポーランド国境に集まっている
- ロシア軍の戦車がポーランド国境に集まっている
これを1段上のレベルに押し上げるには、各ポイントでの共通状況を判断し、ひとつの推論を行います。
<バーバラ・ミント 『考える技術・書く技術』p25>
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上記の例では、フランス軍、ドイツ軍、ロシア軍の戦車がポーランド国境に集まっているという事実から、各国がポーランドに対する戦闘準備をしていると意味づけを行うことで、ポーランドが侵略されようとしているという結論を導きます。
根拠となる事実とそこから導き出される結論の間に一段飛躍があるのが特徴です。
【0212】~【0215】優先順位を見極めるでは、具体例を列挙して論点を抽出し、論点に具体例をあてはめて重要度を判断しました。
この、具体例を列挙してから論点を抽出するというのが帰納的グループ化、
そうして抽出した論点にあてはめて具体例を判断するときに三段論法(演繹的グループ化)
を用いたわけです。
この演繹法と帰納法、論理展開はこの2種類しかないといわれています。
何度も意識的に使い込んで、しっかりと身につけたいものです。
–次回につづく–